■千葉MF田口がピッチを支配【J2リーグ第25節 8月9日 19時04分キックオフ 大宮 0ー1 千葉 NACK5スタジ…
■千葉MF田口がピッチを支配
【J2リーグ第25節 8月9日 19時04分キックオフ 大宮 0ー1 千葉 NACK5スタジアム大宮】
ナイフを持った斬り合いのようだった。両チームが勝点3を目ざしてタフに、ハードに戦った。
J2リーグ第24節が8月9、10、11日に開催され、2位のジェフユナイテッド千葉は9日、4位のRB大宮アルディージャとアウェイで対戦した。両チームの勝点は千葉が42で、RB大宮は41である。結果次第で順位が入れ替わる6ポイントマッチだ。
両チームともに4―4-2をベースとしているが、千葉はポゼッション時に田口泰士がアンカーのように振る舞い、4-3-3にもなる。田口はビルドアップ時にプラス1となってDFラインをサポートしつつ、ボールの経由点となって前進を促す。
田口がキーマンなのはRB大宮も分かっているから、ボール奪取のチャレンジができそうな場面では食いつく。相手の気配を察した田口は、フリックで味方へつないでプレスを引っ繰り返す。あるいは、ワンタッチの縦パスで相手DFラインの背後を突く。
キックオフから1分も経たない時間帯には、右サイドの背後へパスを通してMFイサカ・ゼインを走らせた。イサカのクロスがFW森海渡の決定的なヘディングにつながった。
RB大宮は守備ブロックの内側へパスを通そうとしてくるが、これも田口がケアしていく。21分、RB大宮の右CB市原吏音の縦パスをカットした。その直前には田口とダブルボランチを組むMFエドゥアルドが、相手MF小島幹敏の縦パスを引っ掛け(パスの受け手付近では、田口も待ち構えていた)、右サイドへ展開してイサカが際どいクロスを入れている。
前半のうちに得点をあげることはできなかったが、右サイドのイサカ、左サイドの椿直起の両ウイングが縦突破などから何度もクロスを供給した。相手の内側へのパスは、田口らがカットした。敵地で主導権を握った千葉は、後半開始早々にスコアを動かすのである。
■縦パスのカットから千葉が先制
後半開始から間もない47分、大宮CB市原の縦パスを田口がカットする。田口はすぐ近くにいた椿へボールをあずけると、左サイドへ出ていく。相手右SB茂木力也が攻め上がっていたため、ぽっかりとスペースが空いていたのだ。カウンターのシチュエーションである。田口はペナルティエリアの延長線上付近まで持ち込むと、ライナー性のクロスをゴール前へ供給する。
これに合わせたのはFWカルリーニョス・ジュニオだ。ブラジル人アタッカーは市原の背中から前へポジションを移し、ヘディングシュートを放つ。相手GK笠原昂史の頭上を破った一撃が、バーを叩いてネットを揺らしたのだった。
カルリーニョス・ジュニオは174センチのサイズだが、ジャンプのタイミングが巧みでヘディングシュートの決定率が高い。田口のピンポイントクロスとカルリーニョス・ジュニオの決定力がシンクロした先制弾は、千葉からすれば想定していた得点パターンのひとつと言っていい。そして、そのきっかけとなった縦パスのカットは、前半から狙っていたものである。
その後も千葉は追加点のチャンスを作り出すが、2点目を奪うことはできない。ホームのRB大宮は交代カードを切り、前線にパワーを注いでくる。千葉陣内での攻防が長くなっていった。