(11日、第107回全国高校野球選手権1回戦 県岐阜商6―3日大山形) 日大山形側のアルプス席では生徒、保護者らが大声…
(11日、第107回全国高校野球選手権1回戦 県岐阜商6―3日大山形)
日大山形側のアルプス席では生徒、保護者らが大声援を送った。
野球部応援団長の小鷹(こたか)祐貴(ゆうき)さん(3年)は、岩下瑛斗主将(3年)の赤い打撃用手袋をして、太鼓をたたいた。
岩下主将と同じ秋田県出身。小学生の時から交流があった。捕手で、ベンチ入りできず、悲しかったが、「応援でチームを引っ張ろう」と太鼓をたたくことを決めた。
手袋は、手にまめができそうだった山形大会準決勝の前日、「これを使ってくれ」と渡された。「滑らず、力が入る」と甲子園でもつけている。
五回に逆転されても「打線が爆発すると信じている」と力強くたたいたが、かなわなかった。「九回に2点を返し、熱く、泥臭く、粘り強い野球ができた」。チームを引っ張ってくれた岩下主将には「ありがとう」という言葉を伝えるつもりだ。
ベンチ入りした多くの選手の帽子には「百折(ひゃくせつ)不撓(ふとう)」「侍」などの文字が太く、記されている。書いたのは、アルプスで応援する外野手の渡部雄斗(ゆうと)さん(3年)。デザインや刺繡(ししゅう)が得意で、選手一人ひとりから頼まれた。
「自分がチームに貢献できることが一つでもあるなら、それをやりたいと思った」。勝ってほしいと思いを込め、甲子園に向け新調した帽子のつばに、一つ20~30分かけて丁寧に書いた。
渡部さんは「負けてしまったが、最後まであきらめず、泥臭く、粘り強く、自分たちの野球ができたと思う」と選手たちをたたえた。
吹奏楽部のメンバー、生徒らは前日夕に山形をバスで出発し、早朝に関西入りした。ダンスドリル部は「(アルプス席中が)明るくなるような応援をしたい」と、9人が曲に合わせた振り付けで盛り上げた。
細谷(ほそや)百々葉(ももは)部長(3年)は「残念な結果だったけど、山形大会の時から一致団結する応援が大好きだった。一つになる大切さを学んだ。選手たちのあきらめないプレーに感動した」と話した。
試合が終わると、目を赤くする3年生の野球部員も。選手たちがアルプスに向かって一礼すると、「ありがとう」という声が送られた。(黒川和久)