球団史に残るペースで本塁打を打ち続ける佐藤(C)Getty Images 虎の大砲は大台も射程圏に捉えながら量産体制を維…

球団史に残るペースで本塁打を打ち続ける佐藤(C)Getty Images

 虎の大砲は大台も射程圏に捉えながら量産体制を維持している。

 阪神は8月10日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)に5-2で快勝。投打が噛み合った一戦にあって、4番に入った佐藤輝明は、今月5本塁打目となる31号ソロを含む、4安打2打点の大活躍。チームを6カード連続の勝ち越しに導いた。

【動画】もう8月5発目!三冠王も見える佐藤輝明の31号をチェック

 佐藤の勢いはどうにも止まらない。この日は初回にヤクルトの先発右腕・奥川恭伸から一塁線を破る先制の適時二塁打を放つと、3回には再び奥川のスライダーをとらえ、右中間席へと運ぶ特大の31号ソロをマークした。

 5回と8回にも得点につながるヒットを放って今季2度目の1試合4安打を記録した佐藤は、“課題”と指摘されてきた三塁での守備でも好プレーを披露。3点差に迫られた最終回、増田珠の鋭い当たりを、柔らかいグラブさばきで危なげなく処理し、最後はズバッと一塁へ送球。華麗に試合を締めくくった。

 首位を独走する阪神にあって攻守でなくてはならない存在となった佐藤。とりわけ「不動の4番」と化した打撃面の存在感は圧巻だ。例年であれば、疲労の色も見え始める8月もここまで打率.333、5本塁打、出塁率.415、長打率.833、OPS1.248と乱れ打ち。好不調の波も小さく、安定感は日に日に増している。

 現時点で年間43本ペースで量産し、阪神の生え抜き打者では、1979年の掛布雅之氏以来となる年間40号超えも現実味を帯びている。それどころか、打率(.289/セ・リーグ3位)と打点(76/同1位)と上位につけており、三冠王の可能性すらある。

 到達すれば、球団では、ファンの間で神格化しているランディ・バース(1985年)がやってのけて以来の快挙だ。例年であれば、シーズン終盤にかけて数字を落とし始める佐藤だが、世間の喧騒をよそに淡々とプレーしている今年は好不調の波も小さい。可能性はゼロではないはずである。

 まさに“打ち出の小槌”のように打ちまくる大砲には指揮官も全幅の信頼を寄せる。中継局『GAORA』の試合後インタビューに応じた藤川球児監督は、「打つも、守るも、走塁もそう。本当に素晴らしい姿をずっと見せてくれてます」と強調。「ファンの皆さんも、これだけ心強い4番打者というのはね。彼は今最も誇れる選手だと思いますから、勇ましい姿を見てました」と続けている。

 どんなに苦しくとも、阪神には「頼もしい4番」がいる――。これは就任1年目でのリーグ制覇に邁進する藤川体制の大きな強みと言えよう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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