宝会長は、「今回のような事案をきっかけに、改めて、暴力を一切認めない姿勢を全国の加盟校に強く求めていきたい」と強調した(…

宝会長は、「今回のような事案をきっかけに、改めて、暴力を一切認めない姿勢を全国の加盟校に強く求めていきたい」と強調した(C)産経新聞社
日曜日の午後が騒然としました。
夏の甲子園大会に出場していた広陵(広島)の堀正和校長が、同校の出場辞退を表明したのです。大会前からSNSで暴力事案が拡散し、8月7日の1回戦・旭川志峯(北北海道)に勝利した後には、別の暴力事案もSNSで話題となるなど、騒動は過熱していったのです。
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堀校長はそのような事態を重く受け止めた上で、新たなる指導体制の確立と、自校の生徒や教職員の安全面にも配慮したことを強調。表情からは苦渋の決断であることが読み取れました。
元々は1月に当時1年生だった部員が複数の2年生から暴行を受けたことが騒動の始まりとされています。ここで問題になってくるのは、高校野球の強豪校における、上下関係が厳しい旧来型の「タテ社会」と、指導という名の暴力を容認する空気です。
高校野球取材歴の長いライターは言います。
「高校や大学の野球部における学年をベースにした厳しい上下関係は、特に東日本の強豪校では10年前、20年前と比べてとても緩やかになっています。むしろ取材に行くと『何でこんなに3年生と2年生が仲いいの?』と驚く機会も多々あります。背景には時代の変化と、もう一つは『練習はともかく、人間関係で厳しいところに行きたくない』という点が有望中学生の選択ポイントになっていることもある。指揮官自らが『スカウティングで選ばれるチーム』を作るため、過度な上下関係を排することもあるんです」
一方、特に西日本の強豪校には、「厳しい上下関係」のチームカルチャーを続けている高校もあります。
「厳しいのは大いに結構なんですが、問題はそこに暴力が介在しているか。学校の外なら警察沙汰、傷害事件になるようなことを、寮内なら許されるというのは法治国家として、どうしてもおかしいでしょう。でも、なぜか日本のスポーツ界ではそれが容認されていた経緯がある。立場上、反撃できない下級生を上級生が殴る、蹴るというのは人間として最も恥ずかしいこと。スポーツマンシップと最も対極にある光景です」(前述のライター)
今回、SNSを通じてそれらが判明したというのは歴史的転換であり、今こそ日本高野連には暴力根絶への強いリーダーシップが求められています。
「事実を元にしっかりと調査した上で、『高野連は暴力を許さない』という姿勢を堂々と見せていただきたいと思います。それが最大の抑止力になり、次の被害者と加害者を作らないための最善策になるでしょう」(前述のライター)
熱戦が続く夏の甲子園大会。いつまでもクリーンな若者による戦いの場であってほしいものです。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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