2年ぶりの甲子園出場を決めた日大三は大会6日目の第4試合に豊橋中央との初戦を迎える。今年の日大三はなんといっても強打と粘…

2年ぶりの甲子園出場を決めた日大三は大会6日目の第4試合に豊橋中央との初戦を迎える。今年の日大三はなんといっても強打と粘り強い守備だ。東海大菅生との決勝戦は、主将で3番の本間 律輝外野手(3年)の5打点と4番・田中 諒内野手(2年)の2打点の活躍に、エースの近藤 優樹(3年)の安定した投球により8-4で東海大菅生を破り、20回目の優勝を決めた。夏のベスト8以上は18年を最後に遠ざかっているが、西東京大会の戦いぶりから上位進出も期待できる声も多い。

 そんな日大三のキーマンに迫る。

打線の核は打率5割の3番キャプテン、覚醒の兆しを見せる2年生スラッガー

 西東京大会ではチーム打率.364だった日大三の攻撃の核は、決勝戦でも活躍した左のスラッガー・本間だ。昨年の夏は、1番打者で2試合連続先頭打者本塁打を放つ活躍をした本間は、今大会は3番打者で出場。本塁打はなかったが、打率が5割、打点が10で、チームの勝利に決定的な役割を果たした。決勝戦では好左腕・上原慎之輔投手から適時打を打つなど、5打数3安打5打点の大活躍だった。

 春までと違い、日大三打線が一段と強力になったのは、4番・田中 諒の成長があるからだ。180センチ92キロと往年の日大三らしい右のスラッガーだ。

「普通にやればいいのに、考え込んでいた」と三木 有造監督は言う。力はあるのに、実戦でなかなか結果を残せない田中 諒を辛抱強く指導し、夏の活躍につなげた。準決勝の八王子戦では、サヨナラ本塁打を放った。4番の田中 諒が脅威の存在となったことで、3番の本間に勝負せざるを得なくなり、得点力が高まった。

 本間、田中 諒の前を打つ松永 海斗外野手(3年)、松岡 翼内野手(3年)が小技を絡めてチャンスメイクしたことも、2人の活躍につながっている。

大黒柱のエースは甲子園でも粘り強い投球を見せることができるか

 準々決勝以降は、エース右腕・近藤 優樹(3年)が1人で投げ切った。近藤は常時130キロ後半の速球と、それほど球速は速くないが、制球力がよく、大崩れしない。

 失点をしても冷静さを失わず、失点を最小限に抑えることができる。竹中 秀明捕手(3年)も好リードで、緩急をつけた投球の近藤の良さを引き出している。

 伝統校らしく、守備は内外野とも鍛えられている。特に昨夏を経験している遊撃手の松岡と中堅手の本間は守備範囲が広く、内外野のリーダー的存在になっている。二塁手の櫻井 春輝(3年)を含めたセンターラインは安定感がある。

 甲子園を熟知している伝統校だけに、本間、田中 諒の中心打線が本来の活躍をすれば、十分戦える。ただ近藤以外の投手は、谷津 輝(3年)が8イニングを投げたのが最長。ほかの投手は、3イニング以下と登板機会が少なかった。炎天下の熱戦を勝ち抜いていくには、2番手以下の投手の出来が重要になってくる。