広陵の大会中における甲子園辞退の余波は海外にも広がっている(C)Getty Images 前代未聞の事態は、海を越えて衝…

広陵の大会中における甲子園辞退の余波は海外にも広がっている(C)Getty Images
前代未聞の事態は、海を越えて衝撃を与えている。
第107回全国高校野球選手権大会(甲子園)の大会本部は8月10日、広陵(広島)から出場辞退の申し出があり、了承したことを発表した。
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大会開幕後に参加校が不祥事を理由に、出場辞退したのは春夏を通じて初。世間の余波は広まりを見せている中、マレーシアの有力紙『New Straits Times』が「日本の高校がいじめ問題で人気の野球大会から撤退」というタイトルとともに、詳細を報じた。
同紙は、広陵がSNS上での激しい批判を受け、日本国内で最も注目される夏の大会から撤退したと説明。約2週間にわたって全国放送され、数百万人が視聴する甲子園を「大谷翔平(ドジャース)やダルビッシュ有(パドレス)ら、トップ選手たちのキャリアを輩出してきた舞台」と位置付けている。
記事によれば、発端は今年1月に広陵野球部の1年生(当時)が寮内で4人の上級生から胸を突き飛ばされ、顔を平手打ちされるなどの暴行を受けたこと。被害生徒は加害者の謝罪を受けて3月に転校し、学校は内部調査で事実を確認して、日本高野連に報告。注意処分を受けたが、当初は公表していなかったという。
同紙は、その後に事件の詳細を記した感情的なSNS投稿が拡散し、辞退を求める世論が高まった経緯にも触れた。さらに、ネット上では根拠のない別の暴力疑惑まで広がり、同校の堀正和校長が「事実に基づかない推測で、関係ない生徒への中傷も含まれる」と警告したことや、一部生徒が登下校中に追跡被害を受け、爆弾を仕掛けるとする脅迫まで寄せられたことも報道している。
『New Straits Times』では、堀校長が「私たちは辞退を決断し、教育方法の抜本的な見直しを迅速に進める」と述べたことや、日本高野連が広陵の決定を「極めて遺憾」とし、暴力やいじめ、不合理な上下関係根絶への姿勢を強調したことも取り上げられた。
同紙でも、選手間の暴力スキャンダルを理由に、大会途中で辞退するのは初めてだと指摘。衝撃は日本国内にとどまらず、海を越えて広がっていると結んでいる。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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