プロ野球は8月に入り、100試合以上をこなしたチームも増えてきました。現在パ・リーグ4位の楽天では、高卒6年目の黒川 史…

プロ野球は8月に入り、100試合以上をこなしたチームも増えてきました。現在パ・リーグ4位の楽天では、高卒6年目の黒川 史陽内野手(智弁和歌山)がキャリアハイの成績を残そうとしています。9日まで39試合、2本塁打、17打点、41安打といずれもプロ入り最高の数字です。智弁和歌山時代は5度の甲子園に出場した黒川選手はまさに当時の高校球界を代表するスラッガーでした。

今の高校球児も憧れた黒川が残した甲子園での活躍

 1年夏から甲子園に出場した黒川選手を初めて見られたのは1年秋の近畿大会。印象としてはスラッガータイプの選手が多い智弁和歌山の中ではミート力、長打力を兼ね備えた打者でした。ヒットになった時の打球の速さを見て、高卒プロに進む選手と見ていました。

 そんな黒川選手が全国の舞台でも実力を発揮したのが2年春(2018年)のセンバツでした。準々決勝の創成館戦は打撃戦となり、延長10回の熱戦に終止符を打ったのは黒川選手です。9対8の場面でサヨナラとなる逆転適時二塁打。この試合ではレフト方向にも本塁打を打っており、4打数2安打4打点の活躍でした。

 今年の横浜の主将・阿部 葉太外野手は黒川選手を好きなプロ野球選手に挙げていましたが、甲子園の活躍がきっかけだと語ってくれました。

「僕が子供の時に見ていた甲子園は、黒川選手の世代でした。その中で活躍していたので、当時の甲子園といえば黒川選手というイメージが強いです」

 その黒川選手を再び現場で見ることができたのは、高校日本代表の候補合宿でした。この大会では国際大会に合わせて選手たちは木製バットを使用しますが、打撃練習では本塁打性の打球を連発し、さらに紅白戦でも長打を数多く放ち、一人だけモノが違っていました。

黒川選手の打撃について中谷仁監督は「福留孝介選手、稲葉篤紀選手の打撃と重なるところがあります」と評していました。

 最後の夏の甲子園では3試合で13打数1安打に終わり、悔しい結果となりましたが、最後の国体では木製バットを使って星稜戦で4安打を記録しました。試合後、木製バットの対応について聞かれた黒川選手はこう語りました。

「金属バットだと力任せになっていた部分があったのですが、木製バットでは投手が投げたボールの力を利用して打つことが大事だと思っています」

 高校通算34本塁打の強打のセカンドとして注目された黒川選手は19年のドラフトでは楽天から2位指名を受けます。木製バットの対応力の高さを評価されたのも大きかったと思います。

智弁和歌山時代の黒川史陽

二軍では別格も…一軍で苦しんだが、ついに6年目で覚醒の兆し

 1年目から二軍で57試合、打率.296、6本塁打、31打点と別格とも言える数字を残していました。一軍でも初安打を記録し、高卒2年目は二軍48試合で打率.319と一軍の活躍を待つだけでした。ただ、二軍で見せるバットコントロールの良さ、長打力はなかなか一軍の舞台で発揮できません。昨年まで一軍通算47安打、3本塁打と本塁打になった時は豪快な打球を打つものの、一軍では持続できません。

 課題は、いかにして一軍で自分の実力を発揮できるかだけでした。今季はこれまで二軍監督だった三木 肇監督のもと、我慢強く起用されています。

 6月に一軍昇格した黒川選手は11試合で、33打数11安打、4打点と好成績。ここから一軍に定着し7月には、12日のソフトバンク戦で3安打・5出塁するなど大当たりの試合が増えて、8月では5日にサヨナラ安打を記録。勝負強い打撃を見せる黒川選手は4番として出場しています。

 一軍昇格してからの黒川選手は智弁和歌山時代を彷彿とさせる強いスイングながらもしっかりとコンタクトできる打撃ができています。楽天ファンからも「ようやく覚醒した」という声が聞かれます。

 現在、黒川選手は村林一輝選手(大塚)と村林選手と併用で起用されているルーキー・宗山塁選手(広陵)と二遊間を組んでおり、12球団見通してもワクワクするコンビだと思います。

 このまま強打のセカンドとして結果を残し続ければ、楽天には明るい未来が訪れるのではないでしょうか。

 これから黒川史陽の全盛期が訪れることを期待しています。