◇国内女子◇北海道meijiカップ 最終日(10日)◇札幌国際CC島松コース(北海道)◇6642yd(パー72)曇り(観…

◇国内女子◇北海道meijiカップ 最終日(10日)◇札幌国際CC島松コース(北海道)◇6642yd(パー72)曇り(観衆3387人)
究極の場面で、河本結が「今季一番です」と胸を張る一打が出た。バーディ直後のボギーと決して良くない流れで迎えた後半15番パー4は左から6ydとフェードヒッターには厳しいピン位置。左から風が吹き、グリーン自体も左から右に傾いている。残り157ydから6Iを握り、「頑張って左に出さなきゃいけないところだった」と勇気を試されるセカンドだった。ピンより10yd近く左に打ち出したボールは、手前5ydほどにキャリーする完ぺきな軌道を描いてカップに飛び込んだ。

勝負を決める劇的イーグル。優勝会見を終え、ひと息をついて思うことがある。「こうやってイーグルとか、“誰か”が仕掛けないと入らないと思うので。背中を押してもらって、感謝したいなと思います」。3月に亡くなった母方の祖父を思い、そっと天井を見上げた。オープンウィークだった前週に地元愛媛へ帰省し、やっとお墓に手を合わせることができたばかり。「逆にパワーをいただいちゃった感じです。私の中ではずっと見守ってもらっているような感覚で、おじいちゃんが『頑張れよ』って言ってくれてるんだなって」。直後につかんだ今季初優勝が、何よりの証明になる気がしてならない。
ショットもパットもアプローチも必死に磨いた先で、スコアメークに直結する要素として「メンタルも技術」と言い切る。4打差8位からの逆転は、その“技”なくして不可能だった。雨が降って風が強くなった天候、過去2日間を踏まえて後ろに下がるであろうティイングエリア…。ひっくり返すのは簡単ではない4ストロークも、「今日の天気とセッティングならチャンスしかない」と自然に思えた。

プレーオフで敗れた4月「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」を含め、ここまで17試合で6度のトップ3フィニッシュ。惜敗を重ねて人一倍悔しさも抱えたシーズンだったはず、との見方をあっさりと否定する。「いつか(優勝が)来るなって思っていたので」
その理由として挙げるのが1位を走る平均ストローク。いま最も重視している部分でもある。「『日本一強いって、何なんだろう?』って考えたんです。結局、ゴルフはスコア。常に一番低い数字で上がってくる人が一番強い」。ショット、パット、メンタルといった全ての技術を兼ね備えている証だとうなずく。
今大会終了時点で「70.1946」という数字は、決して満足いくものではないという。「とにかく60台に持っていくことしか頭にないです」。2019年に申ジエ(韓国)が日本ツアーで初めて到達した60台は、これまで山下美夢有(22~24年)、竹田麗央、岩井明愛(ともに24年)だけが達成。その領域に足を踏み入れれば、年間女王の座もおのずと近づいてくる。(北海道北広島市/亀山泰宏)