(9日、第107回全国高校野球選手権大会1回戦 佐賀北5―4青藍泰斗=延長十回タイブレーク) ナイトゲームで点灯した照明…
(9日、第107回全国高校野球選手権大会1回戦 佐賀北5―4青藍泰斗=延長十回タイブレーク)
ナイトゲームで点灯した照明のカクテル光線が、青藍泰斗(栃木)の選手たちの悔しそうな表情を照らし出していた。「甲子園で校歌を歌う」という35年越しの夢は、あと一歩でかなわなかった。青山尚緯監督は「後半勝負の展開だった。選手たちは頑張ってくれた」と振り返った。
佐賀北打線の選球眼の良さが、青藍泰斗のエース永井竣也(3年)の投球リズムを狂わせた。低めの際どい変化球をきっちりと見逃され、投手有利のカウントに持っていくことができない。直球中心になったところを狙い打たれた。「前半は変に緊張してしまった」
一度マウンドを降り、外野の守備についた。その間にベンチの投手陣が「力が入っている、もっと冷静に」と声をかけてくれたという。六回から再登板すると、本来のテンポがよい投球を取り戻したが、タイブレークの十回に佐賀北得意のバント攻めに遭い、力尽きた。
攻撃では持ち味も見せた。初回には鈴木俊世(3年)が、警戒されながら盗塁を決めて、先取点に結びつけた。
さらに栃木大会では出場機会の少なかった服部隼士(2年)、富田創史(1年)をいきなりスタメンで起用。練習の様子をみて「1、2年生の勢い」を大一番に生かそうとした青山尚緯監督の采配が的中し、2人とも2安打を放って気を吐いた。服部は「来年も絶対に(甲子園に)戻ってくる」。甲子園がこの夏の初打席だった富田は「人がいっぱいいて、こんなところでやるのは人生初めてだった。楽しくできて良かった」と自信をつけたようだった。
「高校野球に新しい風を」と話す青山監督は、今大会最年少の27歳。甲子園での初勝利は持ち越されたが、全国制覇の経験もある佐賀北と互角の勝負を演じたことで、今後目指す「常勝チーム」へのスタートラインに立ったことは確かだ。(津布楽洋一)