2025年8月3日、明治安田J2リーグ第24節、ロアッソ熊本対水戸ホーリーホックの試合がえがお健康スタジアムでおこなわ…
2025年8月3日、明治安田J2リーグ第24節、ロアッソ熊本対水戸ホーリーホックの試合がえがお健康スタジアムでおこなわれた。試合は2-1で熊本が勝利した。熊本のフォーメーションは「3-4-3」のスリーバックシステム。水戸のフォーメーションは「4-4-2」の中盤はボックス型を敷いた。
■ロングスローの際に「工夫」も…
水戸は久々の負け試合になったが、失点するのには明確な理由がある。なぜ、水戸が失点をして逆転負けを喫したのかを解説したい。
なお、試合を詳細に分析するために、試合のダイジェストにしたがって話を進めていく。読者の皆さんは、以下のDAZN公式ハイライトを見てプレーの詳細部分を確認してほしい。https://www.youtube.com/watch?v=eMR0k9Wrz7Q&t=1s
記事後半は、54分の水戸のロングスローの場面から見ていこう。
【54分の水戸のロングスローの場面】
ロングスローを行う際に、投げられたボールを一度後ろにそらしてから、それをヘディングなりシュートなりでフィニッシュするやり方がメインになっている。
この場面も同様に、大崎航詩のロングスローを186cmの長身の久保征一郎が後ろにそらして、そのボールを加藤千尋がヘディングした。
GK佐藤史騎が手で弾いてセーブしたので、得点にはならなかった。マンマークしてくる熊本の選手に対して、加藤は一度後ろに下がってマークを外してから、前に出てヘディングしにいった。加藤は、熊本がセットプレーの際にマンマークしてくるのを理解して、マークの外し方を工夫してプレーしているのだが、後半になると、水戸のチャンスは少なくなり、熊本にゲームの流れが傾いているのがよくわかる。
■気づかなかった「コーチング」
【67分の熊本の同点弾の場面】
ここでは、熊本にポケットを取られたことが水戸の最初のミスである。水戸DFの大森渚生は、対面する相手である豊田歩がカットインして中に入ってくることができないようなポジショニングをしている。
さらに、豊田が縦にドリブルするか、あるいは後ろから大西遼太郎がオーバーラップすることを見込んで、大森は「縦に行くぞ!」と、齋藤俊輔に左手を掲げてコーチングしている。
しかし、齋藤は、そのコーチングに気づかずに、ポケットに走り込む大西についていくのが遅れてしまう。
67分08秒の場面を見てもらいたい。大森は的確に齋藤にコーチングをしているのである。それなのに、フリーで大西にクロスを上げさせてしまった。これが最初のミスである。
2つ目のミスは、クロスをクリアしようとした水戸DF鷹啄トラビスのプレーである。ここはディフェンダーにとって判断が難しいところである。
水戸は、ゾーンで守っているので、最終ラインを整えるために、横にいる選手のポジションを気にしながらプレーしている。しかし、最後は人につかないと危険な状態になってしまう。
この場面は、もしも鷹啄がラインを崩して近くにいる熊本FW古長谷千博についていれば、得点は防げたかもしれない。
さらに、古長谷の近くに移動すれば、クリアのためにジャンプしなくてもいいし、後ろに板倉健太がちょうどクリアできるポジショニングをしていたのである。鷹啄の立ち位置が問題である。
鷹啄のディフェンスで気になるところは、ボールウォッチャーになることがしばしあることだ。瞬時の判断はディフェンダーにとって本当に難しいものだが、レギュラーポジションをつかみ取ったからこそ、判断を誤って欲しくないと思ってしまう。
【79分の熊本の2点目の場面】
古長谷のフリーキックがバーに当たって、跳ね返ってところを岩下航がヘディングでゴールに押し込む。
熊本の逆転弾は、フリーキックに対する水戸の壁の人数とポジショニングにあると言える。
キッカーのボールは、内側から巻いて左に蹴られているので、壁を4枚ではなく5枚置いてしっかり立たせる。なぜならば、キッカーのこの位置からは、クロスを上げるほど遠くないからである。限りなくクロスを選択する確率は低いと判断するべきで、壁の左端に立っている長尾の横をボールが巻いて通過しているので、この壁のポジショニングだと壁の意味をなさないのである。
失点するには、失点するだけの理由が存在する。今回の解説では、なぜ水戸が2失点したのかにスポットを当てた。
現在首位の水戸がこのままのポジションをキープできるかどうかは、新しく加入した選手がどれだけフィットするかにかかっている。新井、根本、仙波大志のプレーに注目したい。