(9日、第107回全国高校野球選手権大会1回戦 聖隷クリストファー5―1明秀日立) まるでダンスを踊っているようだった。…

(9日、第107回全国高校野球選手権大会1回戦 聖隷クリストファー5―1明秀日立)

 まるでダンスを踊っているようだった。アウトを取ると、ガッツポーズを繰り出し、小さくステップを踏む。

 「テンポよく直球を投げ込む。そんな自分の投球ができました。本当に楽しい試合でした」

 散発4安打で1失点。初出場の聖隷クリストファーに記念の1勝をもたらしたのは2年生エース、高部陸だった。

 朝は普段より食事がのどを通らなかった。「緊張した」という立ち上がりは、先頭打者に死球を与えた。正直、焦った。

 そんなとき、ベンチやバックから仲間たちの声が聞こえた。「大丈夫だ」。3年生の捕手の武智遥士からは、絶えずそう声をかけられた。

 「周りをよく見て、切り替えられた」と高部。一回を乗り切ると、調子がどんどん上がる。140キロ台の直球にカットボールやチェンジアップで緩急をつけ、低めを丁寧に突いた。バントを含む内野ゴロで15個のアウトを積み上げた。107球で完投した。

 沖縄尚学の末吉良丞、横浜(神奈川)の織田翔希、花巻東(岩手)の萬谷堅心――。今大会は同じ2年生投手の活躍が目立つ。「末吉投手の試合は見てました。みんなすごいなと。自分も負けられないと思った」

 聖隷クリストファーでは、練習の準備やグラウンドの水まきなどは3年生が先頭に立つ。チームの風通しはいい。

 「色々な人に支えてもらっている。勝利に貢献することが一番の恩返し」と高部。あどけなさの残る16歳。マウンドでは一人じゃない。(鷹見正之)