(9日、第107回全国高校野球選手権1回戦 西日本短大付4―3弘前学院聖愛=延長十回タイブレーク) いつもと変わらず、…

 (9日、第107回全国高校野球選手権1回戦 西日本短大付4―3弘前学院聖愛=延長十回タイブレーク)

 いつもと変わらず、今日も淡々。「持ち味はコントロールと球の伸び」という芹川丈治投手(3年)は、顔色を変えずにコースを丁寧に突き続けた。

 120キロ台の直球に、90キロ台のスローカーブも交えた。「スピードがないのは仕方がない。体もできていないんで開き直っています」。自らの投球を貫き、延長十回を投げきって被安打6、四死球3、自責点1の好投だった。

 球速に憧れた時期もあった。春先は、「夏には140キロを出したい」と思っていた。仲間の打力も守備力も信じられず、ねじ伏せる投球を目指していた。でも、春の県大会は4位に終わった。独りよがりだった。

 変わるきっかけは仲間の姿だった。夏に向けてチームが一つになり、春とは見違えるように成長した。「最後だし、信じてみようと思いました」。子どものころから指先の感覚に優れ、コントロールが良かった。制球力で打たせて取る投球に切り替えた。その先に甲子園があった。

 この日、タイブレークになってもコーナーを突く投球は変わらなかった。十回1死満塁、120球目。内角の直球が打者に当たり、これが決勝点になった。「反省点」と言ったが、責められる投球内容ではなかった。

 直球だけ見れば、今大会では遅い方だろう。それでも、やり方によっては強豪と渡り合えることを証明した。

 「全部出し切ったんで」。試合後、敗れても、マウンド同様にクールな表情がそこにあった。(小田邦彦)