叡明は、埼玉の高校野球の新たな可能性を体現した。 第107回全国高校野球選手権大会の1回戦。津田学園(三重)に延長十二…
叡明は、埼玉の高校野球の新たな可能性を体現した。
第107回全国高校野球選手権大会の1回戦。津田学園(三重)に延長十二回タイブレークの大接戦で敗れはしたが、叡明の甲子園メンバー20人のうち19人は県内出身だった。地元の選手を力のある選手に育てあげた。
また、寮のない高校が夏の甲子園に出場したのは2000年以降でみると、03年などの聖望学園だけだった(現在、聖望学園は寮がある)。
最速149キロの直球と3種類のスライダーを操る津田学園の桑山晄太朗投手(3年)を、あと一歩まで追い詰めた叡明打線の根幹にあったのは「全員野球」と「自立」だ。
叡明では、1年生の時からスタメンもそれ以外も同じメニューをこなす。これが、どの選手が打席に立っても途切れない打線を生んだ。
普段からコーチが「なぜ今そのプレーをしたのか」と選手に練習の意味を考えさせる「自立」を促してきた。これで、三回までほとんど凡退に抑えられた桑山投手に、各選手が試合中に工夫を重ね、五回に2点差を追いつく粘り強さを見せることができた。
根本和真主将(3年)は「一人一人が役割を全うして小さな力を合わせれば、(強豪校という)大きな力にも立ち向かえるという希望を示せた」と語る。
中村要監督はこうした叡明のスタイルを今後も貫くと話す。「それぞれの地元に野球をひたむきにやる子どもたちがいる。叡明はそんな子ども、地域と密着しながら上を目指していきたい」(恒川隼)