第107回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)に出場する松商学園の松宗勝監督(45)は「心の野球…

 第107回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)に出場する松商学園の松宗勝監督(45)は「心の野球」を掲げる。選手たちの自主性を重視する指導法で、就任から3年で監督として初の甲子園に導いた。

 松宗監督は松商学園の卒業生で現役時代は外野手だった。3年時にチームは夏の甲子園に出場したが、自身は3年間、公式戦のメンバーに入った経験はなく「練習試合を含めて7打席くらいしか立っていない」と振り返る。

 「打席やマウンドでの選手の心境というのは、正直、自分にはわからない」と語る。「ただ、チームの外からチームを良くするためにはどうしたらいいかということは、高校時代からずっと考えてきた」

 順大の3、4年生の時に学生監督を務め、野球指導者を目指すようになった。卒業後、住み込みで新聞配達の仕事をしながら2年間、青学大の夜間部に通い、商業科の教員免許を取得。2005年にコーチとして松商学園に戻った。その後、部長などを歴任しながら、2人の監督の下で春夏で計6回、甲子園を経験した。

 監督に就いたのは22年秋。選手に求めるのは「自分たちで考えて、表現すること」。選手の「心の成長」を最も大切にしている。

 「これをやれといってやらせるのは一番簡単かもしれないけど、自分で考えず、監督の指示を待つ選手はプレーも遅れる。信頼して任せるところは任せて、選手たちからにじみ出てくるものを大事にしている」

 長野大会では、選手が各自の判断で重盗を試みてそれが得点に結びついた。甲子園での初戦に向けて調整する今も、チームの軸となる投手陣の調整方法は各自の判断に任せている。

 高校時代、サポート役として甲子園練習でグラウンドに立ったとき、鳥肌が立ったことは今でもよく覚えているという。

 「あの瞬間が、今でも自分の原動力になっている。選手たちもそれぞれの立場で、甲子園で何かを感じ取ってほしい」(菅沼遼)