2025年8月3日、明治安田J2リーグ第24節、ロアッソ熊本対水戸ホーリーホックの試合がえがお健康スタジアムでおこなわ…

 2025年8月3日、明治安田J2リーグ第24節、ロアッソ熊本対水戸ホーリーホックの試合がえがお健康スタジアムでおこなわれた。試合は2-1で熊本が勝利した。熊本のフォーメーションは「3-4-3」のスリーバックシステム。水戸のフォーメーションは「4-4-2」の中盤はボックス型を敷いた。

■スパーサブが10試合ぶりに「先発」

 熊本は、7月12日におこなわれた第23節のブラウブリッツ秋田戦から、ディフェンダーの李泰河を7試合ぶりに、さらに、ミッドフィルダーの半代将都を4試合ぶりにスタメンに起用してきた。

 一方の水戸は、第23節のカターレ富山戦から、長尾優斗が5試合ぶりのスタメン起用で、フォワード(以下、FW)の久保征一郎が10試合ぶりの先発となった。

 久保は久しぶりの頭からの出場になったが、富山戦でも得点を奪っており、スーパーサブ的な存在であった。

 控えのメンバーには、横浜FCから移籍して来たばかりの新井瑞希、また湘南ベルマーレからやって来た根本凌が入った。

 試合に関しては、水戸の森直樹監督が試合後の会見で指摘したように、「入りからしっかりプレッシングを掛けて何回か良い奪い方をして」いたので、前半は水戸のペースで試合が進んでいった。

 FW渡邉新太の気の利いたプレーが何度も見られて、得点チャンスも作ることができていた。

 特に気になったのは、前半の場面で、渡邉が相手選手の股を抜いて久保にボールを出したシーンである。久保はシュートを選択したのだが、ゴールキーパー(以下、GK)がニアサイドを固めてシュートコースをせばめていたので、別の選択をして欲しかった。案の定、シュートはGKの正面をついて得点にならなかった。

 久保はストライカーなのだから、シュートを打ちたい気持ちはよくわかる。しかし、ゴール前にフリーの加藤千尋がいたので、急いでシュートを打たずに、加藤にグラウンダーのクロスを入れて欲しかった。こうした一瞬の判断が試合の流れを左右するものだ。

 水戸は久々の負け試合になったが、失点するのには明確な理由がある。なぜ、水戸が失点をして逆転負けを喫したのかを解説したい。

■危険度が高すぎる「正面返し」クリア

 なお、試合を詳細に分析するために、試合のダイジェストにしたがって話を進めていく。読者の皆さんは、以下のDAZN公式ハイライトを見てプレーの詳細部分を確認してほしい。https://www.youtube.com/watch?v=eMR0k9Wrz7Q&t=1s

【9分の水戸のコーナーキックの場面】

 熊本は、マンツーマンディフェンスで守り、1人だけゴール前に誰もマークしていない浮いた選手が1人いる。そして、ストーン役がニアサイドに2人立つ。

 マンツーマンディフェンスは、人につくので責任の所在がはっきりする。コーナーキックを蹴るのは大森渚生。ボールは選手たちの頭を超えて、フリースペースとなっているペナルティエリア内の右にボールが落ちていく。

 後ろから走り込んだ飯田貴敬がシュートを放つ。ボールは惜しくもゴール右に外れる。大森は最初からフリースペースにボールが落ちるように大きく蹴っている。そこに飯田が走り込んでシュートしたのも、トレーニングで試されて、デザインされているやり方だろう。

【35分の水戸の加藤千尋の得点シーン】

 熊本の選手がクリアしたボールが加藤の足元に転がる。加藤は左足でゴールを決めた。熊本はクリアしたボールを落ち着いて高く蹴る余裕を持って欲しかった。

 特に、いきなりボールが向かって来たとしても、正面に返すのは危険度が高すぎる。しかし、利き足でない左足で冷静にコースを狙った加藤がうまかったとは言える。

 記事後半は、54分の水戸のロングスローの場面から見ていこう。

いま一番読まれている記事を読む