初出場の叡明は津田学園に延長12回の大熱戦を演じた。惜しくも敗れたが、叡明を牽引するのが二刀流・田口 遼平投手(3年)が…

初出場の叡明は津田学園に延長12回の大熱戦を演じた。惜しくも敗れたが、叡明を牽引するのが二刀流・田口 遼平投手(3年)が投打で活躍を見せた。

 もともと2点取られた時点で登板する予定だったが、中村要監督は「津田学園さんの積極的な打撃とエース桑山くんの投球がかなり低めに決まっていて、展開的に難しかったので、早めの継投にしました」と3回裏から登板した。

 常時130キロ後半の速球(最速141キロ)、切れのあるスライダーを投げ分け、3回、4回と1点ずつ失ったが、5回以降は立ち直り、安打を打たれながらも粘り強く抑えた。打者として3番を打つ田口は第2打席で痛烈な左前安打を放ち、第3打席には同点となる左犠飛。今大会でも屈指の好左腕・桑山 晄太朗投手(3年)に食らいつく打撃ができていた。そして延長11回は一時、勝ち越しとなる右前適時打を放った。

 そして延長12回裏、内角高めの直球を選んだ。

「自分はいつもこの場面では内角高めを選んでいます。しっかりとバントをさせない自信があったのですが、相手の打者が本当に上手くて…」

 相手打者の犠打は三塁線近くに決まり、田口は処理したが、暴投となりサヨナラ負けとなった。それでも「自分の実力を出せた」と表情は晴れやかだった。

 中学時代は主に春日部市でプレーする春日部SPヤングに所属し、小学校から憧れがあった浦和学院ではなく、徐々に強化していた叡明を選んだ。自転車で30分かけて通い中村監督の野球を学んできた。

「自分たちの実力は埼玉でも決して一番ではなかったと思いますが、自分たちのやることを貫いてきた結果が甲子園だと思います」とこの夏を総括した。

  中村要監督は「今年の大黒柱。投手としてやることはすべて彼に任せていて、何もいうことありません」と全幅の信頼を置く田口。クイック気味の投球フォームを習得するなど、研究を重ねながらレベルアップしてきた。投打ともに高いセンスを発揮したが、「大学では投手として勝負したい」と投手として飛躍を目指している。

 大学では再び表舞台でブレイクを果たすことができるか注目だ。