(6日、第107回全国高校野球選手権大会1回戦 鳴門5―4天理) 先発した鳴門の橋本朋来投手(3年)の帽子のつばの裏に…
(6日、第107回全国高校野球選手権大会1回戦 鳴門5―4天理)
先発した鳴門の橋本朋来投手(3年)の帽子のつばの裏にはこんな文字がある。
「小さな巨人」
身長167センチ。「体は小さいけど、大きく見せ、大きなプレーをしたい」という思いの表れだという。
元々、先輩から「小さな巨人」と書かれた帽子を譲り受け、公式戦でかぶってきた。今回、甲子園出場を機に、ユニホームとともに帽子も新調された。新しい帽子には自らの手で同じ言葉を書き込んだ。
徳島大会では背番号「8」、野手兼投手だった。初戦は試合終盤での起用だったが、勝ち進んだ準決勝、決勝では先発登板し、好投をみせた。「自分はエンジンのかかりが遅いので、早めにアップを始めるなど、調整方法を変えて結果が出た」。走り込みやウェートトレーニングを増やし、体重を落とさないようしっかり食事をとったことで球速が上がり、スタミナ面も強化された。
中学時代からバッテリーを組む仲須龍綺捕手(3年)とは、対戦が決まった天理のデータを調べ、配球を話し合ってこの日に臨んだ。投球パターンを読まれないよう、打者ごとに複数の攻め方を考えた。「橋本は冷静なので顔に出ないし、何よりも制球がすばらしい」と仲須捕手。
「自分で宣言したところに連続して投げ込む練習を繰り返した」と語る小さな巨人は、あこがれだった背番号「1」を甲子園の大舞台でつかみとり、この日のマウンドを任された。(鈴木史)