確実にフェルスタッペンには迫っている。それでも角田への世間の評価はシビアなまま(C)Getty Images 文字通りの…

確実にフェルスタッペンには迫っている。それでも角田への世間の評価はシビアなまま(C)Getty Images

 文字通りの競争を求められるF1界。多くの名ドライバーたちがしのぎを削る場において、何よりも必要とされるのは「結果」だ。いま、角田裕毅もその渦中にある。

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 今年3月27日(現地時間)、今季第3戦の日本GP直前に、姉妹チームのレーシングブルズからレッドブルへ緊急昇格した角田。不振に喘いだリアム・ローソン(現レーシングブルズ)に代わって、チームを再浮上させるキーマンとして快進撃が期待されたが、順風満帆とはいかない現実に直面している。

 昇格してから12戦を戦った角田が獲得したポイントはわずか「7」。最高位も第4戦のバーレーンGPの9位で、公式予選での大クラッシュ後に逆襲を果たした第7戦のエミリア・ロマーニャGPの10位入賞後は、7戦連続で入賞及び獲得ポイントを逃している。

 F1界の「常勝軍団」であるレッドブルにあって、セカンドドライバーに求められる役割はシビアだ。ゆえに一部メディアで角田への更迭論が叫ばれて久しい。17位に沈んだ現地時間8月3日に行われたハンガリーGP決勝後にシーズンは、約4週間のサマーブレイクに入ったが、25歳の立場は危ういままだ。

 そうした中でレジェンドも容赦のない評価を角田に下している。英モータースポーツ専門サイト『CRASH』で、1997年の年間王者でもあるジャック・ヴィルヌーブ氏は、「現時点で、ツノダはマックス・フェルスタッペンにとって最悪のチームメイトだ」とバッサリ。今後の復調への期待も薄いという辛辣な意見を飛ばした。

「彼はレッドブルでのチャンスが欲しいと叫び続け、実際に今季序盤にトップチームのシートを手に入れた。そこから彼はベストを尽くしてきたが、残念ながらここまでの結果は明らかに十分なものではなかった。

 ツノダ自身、自分に十分な速さがないのを理解していてそのフラストレーションが彼のドライビングをさらに悪化させている。非常にシンプルなことだが、F1で、すでに5年目を迎えている彼は期待に達していないし、気の毒に思うこともない」

 無論、角田にとってレッドブルでの活躍が難しいとされる理由はいくつかある。その一つが、高速マシン『RB21』の存在だ。エースドライバーのマックス・フェルスタッペンが優先的にビルドアップされる同マシンに馴染むのは、多くのセカンドドライバーたちがそうであったように容易ではない。

 しかし、過酷な競争が繰り返されるF1の厳しさを熟知する元王者は、どこまでも角田に辛い。こうも持論を展開している。

「多くの人が『レッドブルのマシンはマックス(・フェルスタッペン)のために作られているから不公平だ』と言う。だが、実際のところレッドブルは、決してセカンドドライバーを困難に陥れようとしているわけではない。

 問題はマックスが突出したドライバーであり、彼のフィードバックを受けてマシンがどんどん改良されてきた一方で彼の相棒を務めるセカンドドライバーが十分ではなかった点にある。だから『セカンドドライバーたちが可哀想だ』なんて思う必要はまったくない。現時点で最もそれに当てはまるのがツノダなんだ。今のF1は優秀なドライバーが溢れている。その中でマックスは本当に際立った存在になっている。だから、彼の隣に誰かを並べるのは簡単じゃない」

 間違いなく窮地にある。それでもハンガリーGP後に「過去数年間で彼(フェルスタッペン)にここまで迫ったドライバーはいない」と手応えを口にしていた角田が、サマーブレイクでどう変わるかは大いに注目だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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