<第107回全国高校野球選手権大会:仙台育英5-0鳥取城北>◇6日◇1回戦◇甲子園 鳥取城北(鳥取)は、昨年に続き2年連…
<第107回全国高校野球選手権大会:仙台育英5-0鳥取城北>◇6日◇1回戦◇甲子園
鳥取城北(鳥取)は、昨年に続き2年連続の初戦敗退を喫した。鳥取県勢としての夏甲子園の連敗も10となってしまい、4年連続で完封負けという不名誉な数字ばかりが並んでしまったが、点差ほどの実力差は感じなかった。
先発した田中 勇飛投手(3年)には驚かされた。昨年に続く甲子園のマウンド。リベンジの気持ちを高めて投球するだろうとは思っていたが、初回からその成長ぶりを見せてくれた。
最速はなんと自己最速の148キロ。初回にマークした。仙台育英(宮城)打線に臆することなく力強い直球を投げ込んで勝負しにいった。二塁打を打たれてピンチを背負っても動じない。最後は強豪が誇る4番・川尻 結大捕手(3年)を空振りの三振に切って取った。決め球にしたのはスライダー。直前に145キロの直球を外角低めに見せるボールが伏線となり、空振りを奪ってみせた。
昨年まで、鳥取県勢は夏甲子園初戦で9連敗。そのほとんどが強豪相手で、「くじ運」にも見放されていた。今年も仙台育英との対戦。「またも、か」と少々同情気味な気持ちで試合を見始めたが、「今年は違うぞ」と強烈に感じた。
打順が一回りした4回に集中打を浴び、5回にはソロを浴びた。甘く入った球を、コンパクトスイングで対応してきた相手が上回った。相手が仙台育英ではなかったら、と思わずにはいられなかった。5回途中降板となったが、堂々と甲子園を後にしてほしい。
「初回は先制点を与えてはいけないという展開で、全力で投げて抑えることができた。4、5回は打たれるうちに整理することができず、コントロールが甘くなってしまった」
唇をかみしめた田中には、まだまだ将来がある。「大学に進んで勝負したい」。右サイド気味から140キロ台後半を投げきる素質のある投手はそういないだろう。「目指せ150キロ」。そう言って、大学野球界に送り出してやりたいくらいだ。