根尾のリアル二刀流が見られるか、大谷ルール導入の行方にも注目が高まる(C)産経新聞社 急転直下の決定だった。セ・リーグの…

根尾のリアル二刀流が見られるか、大谷ルール導入の行方にも注目が高まる(C)産経新聞社
急転直下の決定だった。セ・リーグの理事会が4日に行われ、2027年シーズンからのDH制導入を正式決定。1日には高校野球で来春センバツからの導入が決まっており、プロアマ問わず国際ルールと統一される方向に進んでいく。
DH制が導入されるということは、少なからず今後の動向に影響が生まれる。中日の場合はどうだろうか。少し考えてみたい。
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■来年からテラス席導入、そしてDHも
まず、中日は26年シーズンから本拠地・バンテリンドームナゴヤにテラス型観覧席「ホームランウイング(仮称)」の設置が決まっている。従来のサイズから最大6m前にせり出し、フェンスも低くなる。これまで以上に本塁打が増えるのは間違いない。
そこに来て、DH制の導入である。1997年のドーム移転以降、四半世紀以上続けてきた「投手力を中心としたディフェンス型の野球」からの脱皮が求められそうだ。今季すでに傾向が出始めているが、オフェンス力で勝つ試合が増加すると思われる。
もちろん投手力や守備力を蔑ろにしてはいけないが、これまで使いにくいとされてきた「打撃特化型」の選手を思い切って使う土壌が生まれるだろう。中長期的にはスカウティング方針にも変化が生じるはずだ。例えば、これまで「打撃はいいけど守るポジションに困りそう」な選手は「パ・リーグ向き」と言われていた。そういう選手をドラフトで指名しやすくなるのではないか。
■ブライト&鵜飼は恩恵に預かるはず
ここからは、DH制の恩恵に預かりそうな選手を挙げてみたい。具体的な名前を出しながらイメージしてみよう。
今季の交流戦、パ・リーグ主催試合では主にオルランド・カリステと川越誠司がDHに入った。ともにある程度打力があり、年齢も30代に入っている。体力などを考慮し、打撃に専念させて負担を軽くするのは一つのやり方だ。まもなく40代に入る大島洋平もその対象だろう。
純粋にポジションの問題で出場機会が制限される選手も恩恵に預かりそうだ。現有戦力だと、ブライト健太と鵜飼航丞が代表例か。2人とも外野手だが、今の中日は細川成也・岡林勇希・上林誠知とポジションが固まっている。ここにDHが導入されると、守備に不安のある細川をDHにしてブライトを外野に入れたり、鵜飼をDHにはめて下位打線で伸び伸び打たせることも想像できる。
あとは、全試合でDHを任せられそうな外国人大砲の補強も考えられる。今のNPBでいうとフランミル・レイエス(日本ハム)が代表例だ。過去の中日だと、タイロン・ウッズやトニ・ブランコがイメージしやすい。
■「大谷ルール」を使うなら根尾しかいない
今回のDH制導入に伴い、先発投手がDHを兼ねる、いわゆる「大谷ルール」の導入も同時に行われそうだ。こちらは正式決定ではないようだが、理事会の出席者からは導入に前向きな発言が出ている。
中日で「大谷ルール」を使うとするならば、やはりロマン腕の根尾昂だろう。なんと言っても元野手ゆえ、打力は投手の中だと抜きん出ている。今季はチーム事情でリリーフに回っているが、たまに打席に立つと豪快なスイングを披露。過去には鮮やかな安打を放ったこともある。
一軍の先発投手として投げられる力をつけることを前提に、根尾が「投手兼DH」として出場する姿を見たいのは筆者だけだろうか。これまで投手・野手のどっちつかずと言われた逸材に追い風が吹いているような気がしている。
[文:尾張はじめ]
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