5日、第107回全国高等学校野球選手権大会が開幕する。今大会には、来年、ドラフト上位候補に上がる優秀な2年生投手が多い。…

5日、第107回全国高等学校野球選手権大会が開幕する。今大会には、来年、ドラフト上位候補に上がる優秀な2年生投手が多い。140キロ後半の速球を投げ込み、スカウト受けする逸材ばかりだ。今回は甲子園に集結した「BIG5」と呼ばれる2年生投手を紹介したい。

 まずはセンバツ優勝も経験した織田 翔希投手(横浜)だ。織田の凄さは徹底マークをされながらも、結果を残し、さらにスケールアップしているところだろう。高校1年時は常時140キロ台前半で最速140キロ台後半と当時から規格外だったが、センバツで152キロ。そしてこの夏も150キロを出す頻度が増えており、5回戦の藤嶺藤沢戦では1安打完封勝利。

 25.1回を投げ、4失点だった。被安打12はやや多い数字で、神奈川大会決勝戦では3ランを浴びた。それでも要所を締める投球はさすが。185センチ76キロとスケール感があり、厳しいマークをされても進化し続ける精神力の強さもある。プロの世界では相手から厳しいマークを受けても結果を残す選手が生き残る世界だ。織田がこの世代のNO.1投手だろう。

 山梨学院の大型右腕・菰田 陽生投手は194センチ100キロと規格外の体型をしており、器の大きさでは圧倒的にNO.1だろう。徐々にスケールアップし、センバツでは最速152キロ。春季関東大会では8者連続三振を記録した。圧倒的な投球を見せていた春と比べると山梨大会では、やや本調子ではないように感じた。決勝の日本航空戦では3回無失点、3奪三振を記録したが、被安打3。しっかりと振り抜かれている場面があり、夏の甲子園までコンディションを万全にして、無双感溢れる投球を見せてほしい。野手としても高校通算25本塁打を記録しているが、現時点では恵まれた体格を上手く使いこなしている投手だと思う。

 沖縄尚学の左腕・末吉 良丞投手は沖縄大会で凄まじい投球を見せた。沖縄大会では29回を投げ、40奪三振、わずか1失点、防御率0.31と圧巻の成績だった。常時140キロ台後半の速球はかなり威力があり、ストレートの強さは今年の高校3年生左腕を上回っている。スライダーの切れ味もよい。宮城大弥投手(興南-オリックス)の高校時代と比較される存在だが、宮城の3年夏ぐらいのストレートをすでに投げ込んでいる。順調に行けば来年のドラフト1位候補に上がる存在だ。

 聖隷クリストファーの左腕・高部 陸投手も順調に仕上がってきた。1年秋から東海大会に出場し、140キロ台の速球を投げ込み、注目を集めていた。2年夏には最速147キロをマークし、静岡大会では30回を投げ、33奪三振、3失点と安定感抜群の投球を披露した。しなやかな投球フォームから繰り出す140キロ台中盤の速球は切れ味抜群だ。投球スタイル、キレの良い球質から前田悠伍投手(大阪桐蔭-ソフトバンク)タイプと称する声もある。高部も今の高校3年世代の中に入っても上位に入る逸材だ。

 同世代に剛の末吉、柔の高部と対象的な左投手が出てきたのは面白い。

 5人目は堅田 徠可投手(高知中央)だ。堅田の場合、他の4人と違って、高知大会決勝の1試合だけで、世代を代表する剛腕へと評価をあげた。そもそも決勝戦では先発ではなかった。しかし予定していた先発投手が肘の違和感で登板を回避して、堅田に出番が巡ってきた。堅田は予想を上回る投球を見せる。それまでの最速は143キロだったが、この試合で自己最速を8キロ上回る151キロをマーク。安定して145キロ〜150キロが出ていて、別人のような投球で明徳義塾打線を2失点に抑え、完投勝利を収めた。1試合だけで自己最速が10キロ近くも速くなった例はあまり聞いたことがない。その速球の勢いは織田、菰田に負けないものがあった。170センチ76キロと投手としては小柄だが、それを補うほどの速さがある。

 1試合だけの覚醒なのか。それとも甲子園でも高知大会決勝戦同様の剛速球を披露できるか注目が集まる。

 5投手には万全の調子で臨み、甲子園で快投を披露することを期待したい。