全国高校総体(インターハイ=読売新聞社共催)で9、10日に競技がある新体操女子に、愛媛から聖カタリナ学園3年の島崎もも…

 全国高校総体(インターハイ=読売新聞社共催)で9、10日に競技がある新体操女子に、愛媛から聖カタリナ学園3年の島崎もも選手(17)が出場する。1、2年ではいずれも個人2位となり、最後の総体で優勝を狙う。

美しさ、納得できるまで
 つま先まで真っすぐに伸びた脚。床を蹴り、軽やかに跳躍する。リボンで幾重にも円を描き、その動きと一体化したように全身をしならせ、柔らかく舞う。黒一色の練習着でも、華やかさがあふれ出る。

 松山市内の体育館で7月下旬、演技の仕上げに入っていた。ミスが目立つと、すぐさま新体操クラブ「Estella RG」(松山市)の高橋瑛味子監督(41)から「もう時間がない。今までやったことない努力をしなきゃいけんのよ」と声が飛ぶ。納得できるまで演技を繰り返し、追い込みに余念がなかった。

将来性感じ
 新体操との出会いは運命的なものだった。小学1年の時、市内の体育館で父親らとバドミントンを楽しんでいたところ突然、女性から声をかけられた。それが隣のコートで新体操スクールを指導していた高橋監督だった。

 高橋監督は、島崎選手の「脚のラインの美しさ」に目を奪われたという。「筋肉のバランスが良く、膝が真っすぐ伸びている。将来性を感じ、思わず声をかけた」と明かす。

 誘われるがまま見学に行き、そのまま練習に参加するように。当初は「柔軟体操を見ると痛そうで、自分には難しい」と思ったが、いつしか新体操の面白さに引き込まれていった。

「みんなの力を」
 天性の才能はほどなく花開いた。美しい立ち姿に、200度以上開脚できる柔軟な体を生かし、小学生の全国大会は5年で5位、6年で3位に入り、頭角を現した。

 中学、高校に進むと、大会で良い記録が出なかったり、ミスが続いたりすることもあり、「やめたい。何のためにやっているのか」と何度もくじけそうになった。それでも投げ出さず、泣きながらも練習を続けた。支えてくれる家族、熱心に指導してくれる高橋監督の思いを踏みにじることはできなかったからだ。

 「みんなの力を自分の力に変える」とひたむきに努力を重ね、日本体操協会の強化指定選手となった。

大けがから日本一
 今年2月、練習中に靱帯(じんたい)断裂の大けがを負った。松葉づえをつき、日常生活もままならない状態に。ルーマニアでの国際大会の代表選考会を1か月後に控えていただけに気落ちしたが、父・ 優(まさる)さん(44)の「脚は無理でも上半身は動く。できることをやれば絶対に無駄にはならない」という言葉に励まされた。

 腹筋を鍛え、フープやリボンといった手具の操作練習に励んだ。3月の代表選考会までに完治すると、代表の座を射止めた。同月の全国高校新体操選抜大会では、初めて日本一に輝いた。それでも、「得意なフープで失敗し、納得できる演技ではなかった」と浮かれる様子はない。

集大成
 総体で目標とするのはもちろん優勝だ。11年間指導してきた高橋監督は「二人三脚でずっとやってきた。高校の集大成として、結果を取りに行ってほしい」とエールを送る。

 島崎選手は「もう一回見たい、と思わせられるような演技をしたい」と笑顔で語る。心も体もしなやかに鍛えてきた努力家が、高校最後の舞台で舞い、世界に羽ばたこうとしている。(氷見優衣)