【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆知っておきたい!血統表でよく見る名馬【エルコンドルパサー…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆知っておきたい!血統表でよく見る名馬

【エルコンドルパサー】

 ジャパンC、NHKマイルC、サンクルー大賞、フォワ賞などを勝ち、凱旋門賞で2着と健闘しました。年度代表馬、JRA顕彰馬に選出されています。

 名種牡馬キングマンボ(キングカメハメハの父)の初年度産駒。母サドラーズギャルの「スペシャル=リサデル3×2」という全きょうだいクロスを継続する形で、自身は「ヌレイエフ≒サドラーズウェルズ3×2」という4分の3同血クロスを持ちます。

 ちなみに、サドラーズウェルズの肌にキングマンボを交配する、という配合パターンの最初の成功例はエルコンドルパサーで、母の全きょうだいクロスを継続する部分も含めて、すべて馬主の渡邊隆さんが意図的にデザインしたものです。

 1999年にヨーロッパのG1戦線で活躍したのですが、翌春の種付けで誕生した世代(2001年生)から「キングマンボ×サドラーズウェルズ」の配合が急増。その後、毎年のようにこの配合から活躍馬が出現し、ディヴァインプロポーションズ、ヴァージニアウォーターズ、ヘンリーザナビゲーターといったクラシックホースも誕生しました。ビッグアーサーとセキフウの母となったシヤボナもこのパターンです。

 エルコンドルパサーは7歳の若さで死亡したため、種牡馬としてはわずか3世代しか残せませんでした。しかし、ヴァーミリアン、ソングオブウインド、アロンダイト、トウカイトリック、サクラオリオン、アイルラヴァゲインなど、芝・ダート、距離の長短を問わず多くの重賞勝ち馬を送り出しました。

 それ以外にも、クリソプレーズ(クリソベリル、マリアライト、クリソライトの母)の父、ダンスアミーガ(カムニャック、キープカルムの母)の母の父となるなど、母方に入って優れた働きをしています。スタミナや底力を強化する血です。

◆血統に関する疑問にズバリ回答!

「ロッタレースの牝系はアーモンドアイ以外に活躍馬が出ていますか?」

 ロッタレースは1992年にアメリカで誕生し、ノーザンファームで繁殖生活を送りました。トライマイベスト(デューハーストS)、エルグランセニョール(愛ダービー、英2000ギニー、デューハーストS)の4分の3妹にあたる良血です。

 娘のフサイチパンドラがエリザベス女王杯と札幌記念を勝ち、オークスで2着となりました。その娘、つまりロッタレースの直系の孫にあたるアーモンドアイがGIを9勝し、年度代表馬2回とJRA顕彰馬に選出されました。

 ロッタレースはフサイチパンドラの他にこれといった産駒を出すことができず、コンティノアール(OP)、ファンタジア(準OP)といったこのファミリーの主だった活躍馬は、いずれもフサイチパンドラの直系子孫です。繁殖牝馬となったアーモンドアイは、このファミリーの評価をさらに高めることが期待されます。