【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆血統で振り返るクイーンS【Pick Up】アルジーヌ:1…
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返るクイーンS
【Pick Up】アルジーヌ:1着
母キャトルフィーユは2014年のクイーンSをレコード勝ちしているので、今回のアルジーヌの勝利によって母仔制覇を達成しました。ちなみに、母が樹立した1分45秒7のレコードタイムはいまだに破られていません。今回のアルジーヌのタイムは1分46秒0でした。
2代母ワンフォーローズはカナダ最優秀古牝馬に3回選ばれた名牝。キャトルフィーユの他にレディアルバローザ(中山牝馬S2回)、エンジェルフェイス(フラワーC)を産んでいます。ケイアイファームの大黒柱ともいえる名牝系です。
母は繁殖牝馬として優秀で、本馬の他にロードプレジール、メルトユアハート、サンクフィーユ(いずれも3勝クラス)を産んでいます。これらのうち、本馬、サンクフィーユ、メルトユアハートの3頭はロードカナロアを父に持ちます。ロードカナロアはケイアイファームの生産馬なので、この組み合わせが多くなるのは必然なのですが、しっかり成功しています。
「ロードカナロア×ディープインパクト」の組み合わせは、エリザベス女王杯を勝ったブレイディヴェーグや、レッドモンレーヴ、ファンタジストといった重賞勝ち馬を出しており、東京芝を最も得意としています。ただ、ワンフォーローズの一族は直線の短いコースに適性があり、本馬はそちらの傾向がより強く表れています。
◆血統で振り返るアイビスSD
【Pick Up】ピューロマジック:1着
母メジェルダは現役時代にファンタジーSで2着と健闘しました。ピューロマジックの全兄メディーヴァルは新潟芝1000mの韋駄天S(OP)の勝ち馬で、半兄バグラダスはGI朝日杯FS5着馬。
ピューロマジックとメディーヴァルの父はアジアエクスプレス、バグラダスの父はマジェスティックウォリアーと、いずれもダート向きの種牡馬から誕生しています。にもかかわらず芝で活躍しているのは、ディープインパクトを父に持つ母メジェルダの適性が優越しているからでしょう。
父アジアエクスプレスは、現役時代に朝日杯FSとレパードSを勝った芝・ダート二刀流。ただ、産駒は完全にダート向きです。通算成績は芝19勝、ダート125勝と、全勝利数の87%をダートで挙げています。母の父にディープインパクトを持つ配合は様相が異なり、芝13勝、ダート9勝と、芝の成績がダートを上回っています。
「アジアエクスプレス×ディープインパクト」は、芝・ダートを問わず中央開催よりもローカルの成績がいい、という特長があります。中央開催の芝コースのなかで最も成績が優れている京都は、直線が平坦です。馬券で狙う際は、直線に坂のあるコースでは割り引いて、直線が平坦となっているコースで積極的に買ってみたいところです。