■レッドブルは「踏み込む」 【J2リーグ第24節 8月2日 18時04分キックオフ 富山 0ー2 大宮 富山県総合運動公…

■レッドブルは「踏み込む」 

【J2リーグ第24節 8月2日 18時04分キックオフ 富山 0ー2 大宮 富山県総合運動公園陸上競技場】

 猛牛が、目覚めた。

 J2リーグ第24節が8月2、3日に行なわれ、5位のRB大宮アルディージャは2日、17位のカターレ富山と対戦した。J2リーグは7月第2週から中断されていたため、各チームは3週間ぶりのリーグ戦となる。

 長澤徹監督が指揮するRB大宮は、18節のジュビロ磐田戦から7試合連続で勝利から遠ざかっている。中断前はいわきFCとヴァンフォーレ甲府に連敗し、勝点獲得のペースが落ちていた。

 再開初戦へ向けて長澤監督は、「連敗をしっかり止めて、2位を狙いましょうというところで、目線は揃えてきました」と話した。今節の富山戦に勝てば、他チームの結果次第でJ1自動昇格圏の2位へ浮上することができる。

 RB大宮は中断前の甲府戦から、3バックから4バックへ変更していた。富山戦を前にシステムについて聞かれた長澤監督は、「4バックは去年も途中でやっています。J2残留のリスクヘッジはしっかりできているので、チャレンジの局面かなというところで、去年も仕掛けたのでそういうのは持っておきたいのと……」

 と、ここまで話をして、指揮官はあの人の名前を出した。レッドブルのグローバルサッカー部門の責任者を務めるユルゲン・クロップが、7月に来日したのだ。

「チャレンジしていくのがレッドブルのスタンスで、去年同様に新しいシステムを試したり、ポジションを試したりしながら微調整をしてみよう、という気持ちはあります。ユルゲンが来たときにもね、『やっちゃえ、やっちゃえ』というような感じだったので(苦笑)。レッドブルですから、踏み込んでいかないといけないので」

 果たして、富山のホームへ乗り込んだRB大宮は、4-4-2のシステムでキックオフを迎える。そのうえで、スタメンに修正が加えられていた。

 移籍1年目でキャプテンに指名されているCBガブリエウが、左大腿直筋肉離れで7月下旬に手術を受けた。全治までの期間は明らかにされていないが、数試合で復帰できるケガではないだろう。また、7月中旬にはMF石川俊輝が右ひざの手術をしたことがリリースされた。J1昇格への「勝負」となる夏場を前にして、経験豊富なふたりが戦線離脱してしまったのである。

 彼らだけではない。富山戦のスタメンには、FW杉本健勇の名前がなかった。出場停止の1試合を除いて、ここまで全試合でピッチに立ってきた前線の大黒柱が、メンバー外だったのである。

■対角線上のパスが「攻撃のスイッチ」に

 ガブリエウを欠く最終ラインには、6月の特別登録期間に迎え入れたDFイヨハ理ヘンリーが起用された。左利きの彼が左CBに、右CBにはU-20日本代表主将の市原吏音が入る。

 4バックへの変更について問われた市原は、「自分は3バックでも4バックでも、どっちでもやれますし、(中断前の)甲府戦の4バックは楽しさがありました」と話す。同時に、「4バックはセンターバックの責任とかタスクは増える。どっちのシステムでも、やるべきことをしっかりやりたいと思います」と、富山戦を見据えていた。

 富山は黒星先行で17位に沈んでいるが、21節のホームゲームでジェフユナイテッド千葉を、22節のアウェイゲームで水戸ホーリーホックを、どちらも1対0で下している。5月末から指揮を取る安達亮監督のもとで、残留争いから抜け出そうと必死だ。

 試合はキックオフから、一進一退の攻防で進んでいく。平均ボール支配率はほぼ同じで、1試合へ平均パス数は富山が多いから、上位のRB大宮が敵陣で常に試合を進める展開にはならない。それでも、スコアを動かすのはRB大宮なのだ。

 前半終了間際の44分だった。左CBイヨハが、右サイドハーフ津久井匠海へ対角線のロングパスを通す。このパスが、攻撃のスイッチとなった。

 津久井はトラップと同時に仕掛けに入り、ペナルティエリア内へ侵入してFW豊川雄太へ横パスを通す。杉本不在の前線で2トップの一角を担う背番号10は、DFをかわしてGKと1対1となる。至近距離からのシュートは相手GKにブロックされたものの、DFがクリアしきれずに残ったボールをMF谷内田哲平がシュートすると、ゴールエリア内に詰めていたMF泉柊椰が丁寧にへプッシュした。前半終了間際の時間帯に、RB大宮が先制したのだった。

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