第107回全国高等学校野球選手権大会の組み合わせが決まった。今大会は早くから強豪校同士の対戦が実現し、各ブロックでつぶし…

第107回全国高等学校野球選手権大会の組み合わせが決まった。今大会は早くから強豪校同士の対戦が実現し、各ブロックでつぶしあいが行われる。予測困難な大会だが、あえてベスト8に勝ち進むのはどのチームを6人の記者で予想してみた。

*参加記者:河嶋宗一(編集部主筆)、塩澤風太・浦田由紀夫(編集部)、大島裕史・馬場遼、手束仁(ライター)

■日大三・豊橋中央ブロック

日大三・豊橋中央ブロック

■日大三・豊橋中央ブロック
・日大三(河嶋・大島・馬場・手束、塩澤)
・豊橋中央(浦田)

河嶋:日大三を推したのはこの大会に出場していればベスト8以上の実力があった東海大菅生を破った強力打線があるからですね。なかなか相手に流れを渡さない粘り強さも怖いです。そのまま実力を発揮するのではないかと見ています。

塩澤:日大三は西東京大会を見ても打線に隙がなく、好投手が揃う東海大菅生投手陣を打ち崩したことで自信をつけて臨めるのではないかと見ています。ただ、投手陣の踏ん張りが重要になりそう。

大島:西東京大会をずっと見ていて、日大三の強打は脅威です。好投手である豊橋中央の高橋 大喜地投手を攻略できると期待しています。新顔も多いブロックの中で、経験値の高い日大三は8強を狙えると見ています。

手束:豊橋中央は萩本監督とも知り合いですし、私学4強(東邦、愛工大名電)を2校破っているから個人的に期待しているんですけど、甲子園も同じようにいけるか不安ですね。日大三は三木監督が手堅いチームを作っていますので、日大三が上回るのかなと見ています。

馬場:経験値の高さから日大三が手堅く勝つのではないかと見ています。

浦田:私は逆に豊橋中央を推しています。日大三と豊橋中央は激戦の結果、豊橋中央が接戦を制するのでは?愛知私学4強を次々に倒した勝負強さは全国に誇れるものがあります。強豪に勝利した勢いで8強まで勝ち上がるのではと期待しています。

■山梨学院・聖光学院ブロック

山梨学院・聖光学院ブロック

■山梨学院・聖光学院ブロック
・山梨学院(河嶋、手束、馬場、塩澤)
・聖光学院(浦田、大島)

河嶋:このブロックの注目度は山梨学院vs聖光学院ですね。個々の戦力では4校中ではピカイチの山梨学院か、夏に不気味な強さを見せる聖光学院か。

手束:今年は山梨学院が手強いかなと見ています。

馬場:山梨学院が個々の実力で押し切れるのではないか。聖光学院の福島大会の戦いを見ると少し投手陣が不安ですよね。

河嶋:聖光学院の打撃力は高いですし、うまく噛み合えば山梨学院の檜垣 瑠輝斗投手、菰田 陽生投手の2年生投手を攻略できる実力はあると見ています。とはいえ、山梨学院は競り合いでも、打ち合いでも勝てるチームです。聖光学院が勝つには相手を焦らせるためにも序盤からビッグイニングを作る試合運びをしたいですね。

塩澤:菰田くんが注目されますが、やはり野手のタレントが揃っています。経験豊富な梅村 団内野手(3年)、横山 悠捕手(3年)らの打撃は魅力的ですが、初戦から聖光学院と厳しい戦いが予想されます。接戦に持ち込ませず、エース左腕・大嶋 哲平投手(3年)らに積極的なスイングで仕掛けていけるかが見ものです。

大島:聖光学院は守備が非常に堅い。山梨学院の菰田くんは大化けする要素は秘めていますが、夏の大会を見る限り、まだムラがあるタイプに見えました。そこを聖光学院がつくのではないかと思い、その勢いでベスト8に進むと見ています。

浦田:聖光学院が8強に進出すると見ています。センバツの戦いぶり、福島大会の決勝を見ても、ここぞというときの集中力は高い。聖光学院が勝利するのではないか。そのまま、松商学園と岡山学芸館の勝者にも勝利すると考えます。

■健大高崎・京都国際ブロック

健大高崎・京都国際ブロック

■健大高崎・京都国際ブロック
・健大高崎(河嶋、手束、浦田、塩澤)
・京都国際(馬場、大島)

大島:逆説的になってしまい、申し訳ございませんが、健大高崎は優勝候補として推せるチームです。数試合戦っての対決ならば、健大高崎が有利かなと見ていますが、京都国際のエース・西村 一毅くんが万全の調子で投げられる初戦だと、京都国際が接戦を制してそのまま8強入りするとみています。西村くんが一世一代の投球をする確率は初戦が一番高い。ただ、京都国際は、優勝するには物足りないチーム力だと感じました。

 健大高崎はいつも初戦の相手が強いですよね。センバツ初戦の明徳義塾以上に厄介な相手だと思いますよ。逆に健大高崎が京都国際を破ると、優勝の確率は高いと見ています。

馬場:京都国際が接戦を制するのではないかと思います。スコア的に1対0と、2対1という意見も多いですが、私もそう見ています。健大高崎は確かに個々の実力は高いですが、夏の健大高崎はセンバツほど強くないというイメージがあります。それ以上に京都国際の選手たちの胆力の高さ。特に小牧憲継監督の度胸の据わった采配、スタンスがそのまま選手たちにも浸透していて、粘り強さを生んでいます。

手束:私も初戦がヤマだと思いますね。色々見ても健大高崎が抜けています。

塩澤:初戦屈指の好カードはロースコアの展開で打線に分がある健大高崎が競り勝つと予想します。大会No.1の投手陣をどれだけ援護できるかがカギを握る。

浦田:私も健大高崎と京都国際の勝者がそのまま8強入りするとみています。健大高崎を推す理由としては、京都国際は昨年ほどの打力がないため、豊富な投手陣を誇る健大高崎が封じ込めることができると踏んでいます。

河嶋:今年の健大高崎は昨年以上に投手層が厚い。満身創痍の戦いが続いた昨年と比べると投手陣のレベルが高く、コンディション的に余裕があるのがいいです。大事な試合で投げられるのは石垣 元気投手(3年)、佐藤 龍月投手(3年)、下重賢慎投手(3年)と3人もいます。私は下重、佐藤、石垣のリレーになるとみています。下重投手は、一番、落ち着いて試合を作れる投手ですので。打線は昨年より劣るとみられているのは、長打力のある打者が少ないからだと思いますが、昨年は本塁打が多くても、ムラがあり、計算ができませんでした。今年は長打力がないチームと自覚しているため、試合運びが落ち着いています。投手陣の充実ぶりを見ても、ロースコアで勝ち抜けると思います。

■神村学園・関東第一ブロック

神村学園・関東第一ブロック

■神村学園・関東第一ブロック
・神村学園(河嶋、馬場)
・関東第一(大島、浦田、手束、塩澤)

河嶋:神村学園は分が悪いしんがり登場(49校目)となりましたが…

馬場:きついかもしれませんが、神村学園はしっかりと調整できると思います。小松大谷と創成館も良いチームですが、甲子園で小田大介監督の采配、マネジメントを見ると、この壁を乗り越えてくれると思います。また甲子園練習を見ていて早瀬朔投手が予選よりもよく見えました。早瀬投手に期待ですね。

浦田:皆さんが仰るように、このブロックは神村学園次第ですね。ただ夏の甲子園の組み合わせで一番難しいとされる49番目の最後の登場となる位置に入りました。初戦の入りが難しいのが懸念材料です。開幕カードで戦う創成館と小松大谷も実力は高く、どちらがきても神村学園が敗れる可能性は高いと見ています。昨夏準優勝校で、東東京をノーシードで勝ち上がってきた実績を重んじて関東第一が8強入りすると見ています。

大島:関東第一は良いブロックに入って、結構いけるんじゃないかと思いますね。

手束:東東京大会の関東第一の手堅い戦いを見ているので、推します。

塩澤:もし神村学園と関東第一が勝ち上がれば、昨年準決勝の再現となるので楽しみです。関東第一は投打の軸を担う坂本 慎太郎投手(3年)、主将の越後 駿祐内野手(3年)ら甲子園経験者が牽引し、エース右腕の石田 暖瀬投手(3年)が大会中に調子を上げていることも好材料です。接戦の末、関東第一かなと見ています。一方の神村学園も甲子園経験者こそ多いですが、昨夏よりも打線は苦しんでいるように見えました。ただし、プロ注目右腕・早瀬 朔投手(3年)らの復調となれば今年も十分上位を狙えると見ています。

■仙台育英・沖縄尚学ブロック

仙台育英・沖縄尚学ブロック

■仙台育英・沖縄尚学ブロック
仙台育英(手束、馬場)
沖縄尚学(河嶋、浦田、大島、塩澤)

河嶋:このブロックも意見が分かれるブロックとなりましたが、ここはいかがですか。

手束:戦力的には仙台育英と見ています。

浦田:個人的な希望もありますが、3回戦のカードは仙台育英と沖縄尚学の対戦となるのではないかと見ています。仙台育英はもちろんですが、沖縄尚学もエース末吉 良丞投手だけでなく、投手陣は今大会トップの防御率を誇っている。この両者の対戦は甲乙つけがたいですが、大接戦の末に末吉くんの爆発的な投球がさえて、仙台育英を封じ込めるとみています。

大島:若干ですが、沖縄尚学が上回っていますね。打力のある天理も面白いですが、沖縄尚学かなと思います。

河嶋:私も沖縄尚学を推します。仙台育英とで悩みましたが、宮城大会の試合運びに不安がありました。硬さがかなり見られます。高い潜在能力を発揮できるか、未知数です。対照的に沖縄尚学は完璧な試合運びを見せていました。経験値も違う。末吉投手の圧倒的な球威はなかなか打ち返せないですし、野手もとても組織的なチームです。上手く行けば優勝争いに加わるチームだと見ています。

馬場:ここは難しいブロックですが、沖縄尚学と悩みましたが、仙台育英にしました。もし3回戦で沖縄尚学と仙台育英が対決した場合、投手運用と余力の差で仙台育英が上回ると見ています。仙台育英は須江航監督が上手く投手を運用しながら勝ち上がるのではないかと思います。ただし、仙台育英の県決勝の戦いに不安を感じたのは私も同じです。沖縄尚学は末吉くんが3回戦でどれだけ元気な状態で投げられるかにかかっていると思います。

河嶋:となると、3回戦までの戦い方も鍵になりそうですね。

■横浜・広陵ブロック

横浜・広陵ブロック

■横浜・広陵ブロック
横浜(全員一致)

大島:キャリアから見ても、横浜が抜けています。

塩澤:いかに初戦を乗り切ることができるか。打線は夏の神奈川大会で不調だった奥村 凌大内野手(3年)がリードオフマンの働きができるかどうかも、勝ち上がるには重要です。

馬場:横浜と初戦で対決する敦賀気比ですが、打線は悪くないですが、投手陣に故障者が多い。センバツで投げた五十子 李壱投手(2年)、管田 彪翔投手(2年)が不在です。だから打ち勝つしかない。横浜は初戦をしっかりと切り抜ければ、そのまま勝ち上がると見ています。

浦田:このブロックの3回戦は横浜と広陵となるのでは。実績と経験が他のチームよりやや優位であることが大きい。最後は競り合いを制して横浜が勝ち上がると予想しています。

河嶋:横浜はベスト8まで3試合ありますけど、日程的に試合間隔が空いているので、打線が奮起すれば、投手陣を楽にできると思います。神奈川大会はつながりが悪かった打線がどれだけ機能するかですね。

手束:横浜が抜けていると思うんですけど、このブロックだと津田学園が面白いですよね。津田学園は過去に甲子園出場した中だと、一番いいチーム。エースの桑山 晄太朗投手(3年)は本当に良い投手。しっかりと勝ち進んで、彼が元気な状態で優勝候補・横浜に投げる姿とか見てみたいですね。

■東洋大姫路・智弁和歌山ブロック

東洋大姫路・智弁和歌山ブロック

■東洋大姫路・智弁和歌山ブロック
智弁和歌山(全員一致)

浦田:ここは一番の大激戦区です。特に2回戦では智弁和歌山と東洋大姫路の対戦となると見ています。ここの勝敗が読めない。センバツの実績では智弁和歌山でしょうが、東洋大姫路の兵庫で「3冠」した実力は重くみないといけない。それでもタレント力が最後に勝り、智弁和歌山が勝利すると見ています。

大島:智弁和歌山が戦力的に抜けていると思います。東洋大姫路は投手が苦しい。大事な試合だと、木下鷹大投手1人だけというのが厳しい。

馬場:智弁和歌山が抜けていますが、初戦で対決する花巻東も評判は高いですが、投手陣に不安を感じます。

塩澤:智弁和歌山は夏に向けて仕上げてきた印象。決勝はエースの渡邉 颯人投手ではなく、宮口 龍斗投手(3年)が完封したことからも戦力層の厚さを感じます。初戦の花巻東やまた近畿地区大会で勝てていない東洋大姫路らと同ブロックですが、投手陣を打ち崩すのは難しいとみています。

河嶋:智弁和歌山を除くと、全体的に投手力に不安を感じるといいますか、強力打線で援護をして、勝ち上がるチームが多いですね。智弁和歌山はロースコアでも勝ち抜ける投手力があることを和歌山大会決勝で証明しました。智弁和歌山は春から個の力をワンランクレベルアップしていますね。このブロックでは西日本短大付も今大会屈指の強力打線で守りもいいですが、福岡大会同様の戦いができるか。

■市船橋・県岐阜商ブロック

市船橋・県岐阜商ブロック

■市船橋・県岐阜商ブロック
・市船橋(河嶋、浦田)
・明豊(手束)
・県岐阜商(大島)
・北海(馬場)
・青藍泰斗(塩澤)

河嶋:本当に実力が拮抗しているブロックですよね。

手束:私も一番面白いブロックだと思います。

浦田:ここのブロックでは飛び抜けたチームがなく、予想が難しいです。市船橋と明豊の初戦で勝ったチームがそのまま勝ち上がるのではないかとみています。この対戦も拮抗した展開になると予想されるが、千葉の激戦区を勝ち上がった勝負強さを評価して、僅差でベスト8に勝ち進むと見ています。

河嶋:市船橋は切れ目のない打線が特徴。さらに川崎 耕司投手(3年)、諸岡 杜和投手(2年)、清水 健士朗投手(3年)、島田 侑胡投手(3年)の4投手は140キロを超えて、変化球の精度も高く、試合が作れる。このブロックでは投手力が一番優れていて、接戦にも強いチームと見てベスト8に推します。

大島:県岐阜商ですね。東海地区を長く牽引してきた名門校。今年の東海地区で最も期待できるチームですし、名門校としての強さを見せてくれると見ています。

手束:自分は守備力の高さと経験値の高さを見て、明豊と見ています。

馬場:本当に予想が難しいブロックですが、一番穴が少ない北海かなと見ています。明豊も対抗かなと思います。

塩澤:青藍泰斗を推します。野手は攻守にチームを牽引する主将の佐川 秀真内野手(3年)が中心。投手も丁寧な投球が売りの好左腕・永井 竣也投手(3年)をはじめ、投手の枚数も多く、戦力的に抜けた学校がないブロックで勝ち上がる可能性を感じています。