全国高校総体(インターハイ=読売新聞社共催)は3日、新たに体操競技、ハンドボールが始まり、計12競技が5県で行われた。…
全国高校総体(インターハイ=読売新聞社共催)は3日、新たに体操競技、ハンドボールが始まり、計12競技が5県で行われた。
奈良県勢は、弓道男子団体で畝傍が初優勝した。
5人が4射ずつ矢を放ち、的中した合計数を競う団体戦は最後の1射を残すだけとなった。岩井選手は時が熟すのを待つかのように弓を引き、矢を的中させて初優勝をつかみ取った。
弓道は中学から始め、中学2年の春には4射すべてを的中させた。しかし、それ以降、弓を引いてから矢を離すまでのためる時間が待てなくなった。すぐに離しても当たると考え、基本に忠実になれなかった自分の未熟さと怠惰の問題だと振り返る。
スランプは高校1年の秋まで続いた。当時の顧問から練習の難易度を下げるよう言われると、怒りがこみ上げ「くせは1日で直すから見てくれ」と言い切った。顧問は翌日、朝早くから練習を見に来てくれた。「自分の反抗心も見抜いてくれていた」
決勝戦の最後の1射は「僕が外したら負けるかもしれない」と緊張でつばものみこめなかったが、「早く逃げたい」という気持ちに打ち勝ち、自分の体と弓が教えてくれる「今だ」という感覚を待つことができた。「自分の弱いところを理解することで、本当に強い自分で居続けられると学んだ。しんどいことの方が多かったけど最高です」
(林美佑)