2025年7月27日、明治安田J1第23節、浦和レッズ対アビスパ福岡の試合が埼玉スタジアム2002でおこなわれた。試合…

 2025年7月27日、明治安田J1第23節、浦和レッズ対アビスパ福岡の試合が埼玉スタジアム2002でおこなわれた。試合は0-0の引き分けに終わった。浦和のフォーメーションは「4-2-3-1」の中盤は三角形になる。一方の福岡のフォーメーションは「3-4-2-1」の最終ラインはスリーバックである。

 なお、試合を詳細に分析するために、試合のダイジェストにしたがって話を進めていく。読者の皆さんは、試合の前半をピックアップして解説するので、以下のDAZN公式ハイライトの最初のほうを見て、プレーの詳細部分を確認してほしい。
https://www.youtube.com/watch?v=hkL2yPgosPg

 では、浦和MF松尾佑介のシュート場面から分析していこう。

■密着マークに「打開する術なし」

【36分の松尾佑介のシュート場面】

 実は、松尾佑介がバイタル前でボールを持ったときに、すでにパスの選択肢はなかったのである。

 福岡は引いて守っているので、裏に抜け出すスペースがほとんどない。まさに、この停滞した場面を引き起こしているのは、フォワード(以後、FW)のチアゴ・サンタナの動き方を“規制”する福岡の守備にある。

 サンタナには、福岡のディフェンダーがマンマークでつく。このシーンでは奈良竜樹が密着マークをする。松尾がボールを持ったときに、唯一のパスコースは、相手ディフェンダーを背負ったサンタナしかいないと言える。

 右サイドも左サイドも浦和の選手の前には、福岡の選手が立ち、行く先を塞いでいる。その唯一のパスコースと見られるサンタナへのパスだが、サンタナと松尾の縦のラインに福岡を選手が立っていて、「縦切り」をしている。パスコースがない松尾は、シュートをするしか選択肢がなかった。

 福岡の人数をかけて引いて守るやり方を打ち破るには、工夫が必要である。しかし、福岡のディフェンダーに密着マークされるサンタナには打開する術がなかった。

 サンタナはシュートがうまい選手だけれども、相手の背後をとる動きはほとんどしない。時に、相手ディフェンスを引き連れて下がってポジショニングすることはあるが、最終ラインを破るような裏への動き出しはほとんどない。

 このことが、サンタナがスタメンから遠ざかっていた理由でもあるのだ。浦和の攻撃力は高いので、相手チームは人数をかけて引いて守ってくる。

 サンタナにも厳しくマンマークをつける。そうするとサンタナの動きは規制され、浦和の攻撃が停滞してしまうのである。

【37分のコーナーキックの場面】

 ショートコーナーを使う浦和。福岡は3人がマンツーマンで、それ以外はゾーンで守っている。デザインされたコーナーキックだった。

 セカンドボールを拾ったら、ニアサイドにいる選手にクロスをあげる。福岡はボールをクリアしたらラインを上げるので、そこでラインギリギリを狙ってクロスを入れ、待ち受ける選手がヘディングでゴールを狙う。

 福岡がラインを上げたときに、上げたラインにゆっくりとついていきながら、クロスを待ってゴールを狙う。トレーニングでも何度も確認しているコーナーキックのやり方だろう。

■引いて守る相手を「攻略」するために

【41分の浦和のスローインを福岡がインターセプトする場面】

 浦和スローターがなぜゴールキーパーのほうにスローインをしたのかわからない。サンタナにスローインしてスローターに戻せばいいのに、あえてリスクを侵す必要などないだろう。

 前半での戦い方と、後半での戦い方が同じような展開になっている。前半も後半も試合スタート後すぐに前からボールを奪おうとプレスをかける浦和。しかし、福岡は人数をかけて引いて守ってきたので、裏へのスペースがない。

 密着マークされるサンタナは、相手を引き連れて下がって味方にスペースを提供しようしたが、福岡の守備の固さに防御されてしまう。

 ポストプレーを得意とする選手ならば、相手が密着してこようがボールをキープできるけれども、サンタナはそうしたタイプの選手ではない。ボールをロストする回数も多かった。

 ただし、もともと引いて守る相手を攻略するのは至難の技であるし、相手が自分たちよりも攻撃力が上回るチームならば、当然の守備戦術になってくる。

 福岡が対浦和の守備をハードにしっかりとやった結果が、0-0の同点になった試合だったと言える。

 浦和レッズが今後、上を目指すためには、守備での凡ミスは論外だが、浦和の高い攻撃力を恐れ、引いて守る相手が今後も続出することが予想される。その際に、前線からプレスをかけ続ける以外の「攻撃の引き出し」が必要なのではないだろうか。

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