チームを鼓舞するように怒声を浴びせた角田(C)Getty Images チーム内で生じた問題にフラストレーションは抑えき…

チームを鼓舞するように怒声を浴びせた角田(C)Getty Images

 チーム内で生じた問題にフラストレーションは抑えきれなかった。

 現地時間8月2日、今季のF1第14戦となるハンガリーGPの公式予選がブダペスト郊外のハンガロリンクで行われ、レッドブルの角田裕毅は、まさかの1回目(Q1)で敗退。全体16番手で決勝を迎えることになった。

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 わずかな“差”に泣いた。Q1のラストアタックで1分15秒899を叩き出した角田は、8番手に食い込む好走を見せたが、後に続いたライバルたちが続々とタイムを凌駕。最終的に15番手となったフランコ・コピラント(アルピーヌ)とは、0秒024差で早期敗退の憂き目にあった。

 最終的に8番手となったエースドライバーのマックス・フェルスタッペンとも0秒163差。チームから許されている差の範囲内に留めた角田だが、それでも上位進出は果たせなかった。

 好走を見せながらも結果を出せなかった。苦闘が続く角田は「とにかく遅い。おそらく僕たちのマシンに完全に欠落している何かがある」と苛立ちを隠そうとはしなかったわけだが、レース中にも怒りをぶつける無線をスタッフに送っていた。それは、公式予選に先駆けて行われたFP3での出来事である。

 最後のタイムアタックに出ていた角田は、タイムの計測中に突如として中止を決断。陣営が用意したマシンのセッティングがロングラン用であったために、担当レースエンジニアのリチャード・ウッド氏に向け、強い口調で叱咤したのだ。

「アンダーステアがひどくなった。これまでと全然バランスが違う。こんなの馬鹿げてるよ。あと、後ろからクルマが来ているのをちゃんと教えてくれ! もう目を覚ましてくれよ!」

 前戦のベルギーGP決勝でもチーム間のコミュニケーションミスによって、後退を余儀なくされていた。それだけに角田の「もう目を覚ましてくれよ」は強い意志の表れとも感じられた。

 当然ながら日本人ドライバーが見せた怒りの主張は、海外メディアでもフォーカスされている。オランダのF1専門メディア『GP FANS』は、角田とウッド氏のやり取りを切り取り、「レースエンジニアにひどい暴言を浴びせた」と指摘。その言葉を次のように描写している。

「今季のレッドブルのマシン『RB21』と戦い続けたツノダは自分のペースを見つけられないまま、サーキット上で明らかにフラストレーションを溜め込んでいた。そして、陣営の反応の遅さに不満を抱えていた末に無線を通じてついに怒りを吐き出した。ただ、彼自身もレッドブルの抱える問題に対する答えをあまり持っていなかった」

 オーバーテイクが少なく、「退屈」と揶揄されるハンガロリンクにおいて、16番手からのスタートは過酷。ライバルに苦戦するのは必至だが、角田はポイント獲得圏内に食い込めるだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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