韓国球界で大きな成功を掴んでいたロハスJr.。だが、今季は極度の不振に陥り…(C)Getty Images シーズン真っ…

韓国球界で大きな成功を掴んでいたロハスJr.。だが、今季は極度の不振に陥り…(C)Getty Images

 シーズン真っただ中にシビアなクビ切りは断行された。現地時間8月2日、韓国プロ野球(KBO)のKTウィズは、球団の「レジェンド助っ人」と称されるメル・ロハスJr.との契約解除を発表。合わせて、日本ハムでもプレーしていたアンドリュー・スティーブンソンの獲得を公表した。

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 急転直下の決断だった。現在35歳のロハスJr.は、KBOでのプレー歴は6年を誇る。2020年には年間47本塁打、同135打点を叩き出して二冠王に輝くと、翌年には巨人との争奪戦を制した阪神に鳴り物入りで加入していた。

 新型コロナの世界的な感染拡大の影響を受けた日本でロハスJr.は、「日本の投手は真っ向勝負をしない」と適応に苦心。矢野燿大政権下の阪神で過ごした2年間で打率.220、17本塁打、48打点と本領を発揮できず……。熱心な虎党の期待を裏切り、「ダメ助っ人」のレッテルを貼られて無念の退団となった。

 阪神退団後にメキシコ・リーグに移籍。ここで再び声価を高めたスラッガーは24年から古巣のKTウィズと再契約を果たし、復帰1年目から大活躍。打率.329、32本塁打、112打点、長打率.568、OPS.989のハイアベレージを叩き出し、打率、本塁打、打点の3部門でリーグ10傑入りを果たしていた。

 しかし、迎えた復帰2年目は低調なパフォーマンスに終始。7月3日には、KBOにおける外国人打者の通算本塁打記録を23年ぶりに更新したが、打率.239、長打率.429、OPS.759と安定感に欠け、直近10試合でも19打数1安打、打率.053と大不振に陥っていた。

 KBOには1チームが契約できる外国人選手が3人までという規定がある。すでに枠が埋まっていたKTウィズは、スティーブンソン獲得のためにロハスJr.のクビ切りに踏み切る形となった。

 とはいえ、韓国球史に名を刻んだレジェンド砲の突然の退団には衝撃も広まっている。日刊紙『朝鮮日報』は「KTは今シーズンにロハスと1年180万ドル(約2億6500万円)で再契約したが、大金を失うことになった」と指摘した上で、「過去には素晴らしい成績も残していたため、今回の決断はチームにも大きな心理的負担があった」と伝えた。

 また、韓国メディア『OSEN』は、KTウィズの決断を「情に流されず冷静だった」と評価。そして、「180万ドルの契約を交わした今シーズンのロハスは、外国人打者記録となる通算175本塁打を放っただけであった。厳密に言えば失敗だが、もはやチームは堅い絆で結ばれた助っ人との情に頼ることもなかった。冷静に状況を判断し、手遅れになる前に新たな外国人選手と交代させた」とも記した。

 韓国でも「失敗」と評されてしまったロハスJr.。開幕前には日本球界からの再関心も伝えられたが、キャリアの晩年を迎えるスラッガーは、この先にいかなる道を歩むだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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