秋本らは少ない出場時間のなかでそれぞれにアピールした(C)Getty Images バレーボールの女子日本代表は「FIV…

秋本らは少ない出場時間のなかでそれぞれにアピールした(C)Getty Images

 バレーボールの女子日本代表は「FIVBネーションズリーグ」の全日程を終えて、最終4位の成績を残した。

 予選ラウンドを9勝3敗の3位で通過すると、ポーランドで開催されたファイナルラウンドの準々決勝では強豪トルコをフルセットの末に下す。続く準決勝では、予選ラウンドでストレート負けを喫していたブラジルを相手にフルセットに持ち込み、最終的に敗れはしたものの食らいついてみせた。

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 そうして現地7月27日の3位決定戦では、高身長選手がずらりと並ぶポーランドと対戦。予選ラウンドで対戦したときには勝利を収めていたが、ここでは計15本のブロックシャットを浴び、1-3(15-25、26-24、16-25、23-25)で破れる結果に。惜しくもメダル獲得とはならなかった。

 とはいえ、今年はフェルハト・アクバシュ監督体制の1年目。このネーションズリーグはシーズン最初の公式戦で、チームづくりもまだまだここからの段階にある。

 今大会を振り返ると、チームは予選ラウンド、ファイナルラウンドを通して先発メンバーを早々に固めて戦ってきた。と同時に、そこに加わった新たな戦力は今大会で抜擢されるや、さっそくアピールに成功している。

 その筆頭が今年度初選出のアウトサイドヒッター、北窓絢音(SAGA久光スプリングス)だ。身長183センチと比較的高身長はアタッカーとして魅力的で、さらに守備力にも定評あり。学生時代からレシーブ力に長け、本人も代表活動にあたっては「サーブレシーブや守備で貢献したい」と語っていた。徐々に存在感は増し、ファイナルラウンドでは守備の立て直しやリリーフサーバーだけでなく、エースの佐藤淑乃(NECレッドロケッツ川崎)に代わって前衛でプレーする時間帯もあった。

 また、出場時間はまだまだ短いものの、このネーションズリーグでシニア日本代表デビューを飾り、インパクトを残したのが秋本美空(ヴィクトリーナ姫路→ドレスナーSC/ドイツ)。身長185センチ、最高到達点316センチのポテンシャルを備える18歳の新星は、抜群のアタックセンスが光る。今大会では主に2枚替えで投入されてオポジットの位置でプレーすると、ファイナルラウンドでは相手の高いブロックに対して臆することなく腕を振る。ときにはコースを見極めて、ときには相手の指先を的確に狙いブロックアウトを奪うほか、高い打点からさらりとブロックをかわして得点するシーンも。“未来の大エース”は実戦を通して今、着々と経験値を積み重ねている。

 その秋本と2枚替えで同時にコートに送り出されるセッターの中川つかさ(NEC川崎)も新戦力と言える存在。日本代表には2023年度から登録されてきたが、本格的にA代表として公式戦でプレーするのは今年から。とはいえ、中学・高校・大学それにアンダーエイジカテゴリー日本代表、とあらゆる年代でタイトルを獲得してきた実績を持つ。身長159センチの小さな身体には、国際大会で培ってきた抜群の経験値が詰まっているのだ。ファイナルラウンドでは準決勝こそベンチメンバーから外れたものの、大会を通しては総じてユニフォームを着続けた。その事実に本人も当初は「びっくり。私!?という感じといいますか…」と振り返りつつ、「ですが、自分の役割を全力でまっとうしたいと考えています。もちろんコートに入りたい気持ちはありますから。そのための準備をしつつ、控えメンバーをまとめることも心がけて、そのバランスを自分の中でとりながら向き合っています」と野心をのぞかせた。

 チームとしては今回のネーションズリーグでは表彰台に立つことは叶わなかったとはいえ、準決勝を終えてリベロの小島満菜美(ソルトレイク/アメリカ)が「自分たちを成長させてくれる機会なので。次につなげたい」と力強く語ったように下を向く必要はまったくない。それは北窓や秋本、中川ら新戦力にとっても同じことが言えるだろう。のびしろしかない彼女たちが、この経験を成長につなげた姿が今から楽しみである。

[文:坂口功将]

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