角田に対して責任を追及したマルコ博士(C)Getty Images F1の名門レッドブルの“重鎮”は、業界の酸いも甘いも…

角田に対して責任を追及したマルコ博士(C)Getty Images

 F1の名門レッドブルの“重鎮”は、業界の酸いも甘いも知るからこその率直な意見を、苦闘する角田裕毅に浴びせた。

 発信者となったのは、レッドブルの顧問を務めるヘルムート・マルコ博士だ。現地時間7月31日にオーストリアの日刊紙『Kronen Zeitung』で取材に応じた82歳の名伯楽は、「セカンドドライバーがチームの足を引っ張っているのは我々だけではない」と前置きした上で、角田の現状を批判するような発言を展開した。

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「今からコンストラクターズランキングで2位を狙うのは現実的じゃない。なぜならツノダがあまりにもポイントを取れなさすぎるからだ。我々はメルセデスと3位争いをしている。もちろん、セカンドドライバーが足を引っ張っているのは、我々だけでなく、フェラーリのハミルトンも、メルセデスのアントネッリも同様だ」

 F14連覇中の“偉才”マックス・フェルスタッペンが絶対的エースに君臨するレッドブルにとって、セカンドドライバーの成否は近年、頭を悩ませ続けている課題だ。今季も開幕前に姉妹チームのレーシングブルズから昇格させたばかりのリアム・ローソンをわずか2戦で更迭。角田を電撃的昇格させたが、この25歳の日本人も昇格11戦で入賞はわずか3回。マルコ博士の言うようにチームに貢献できていない現状がある。

 もっとも、レッドブルはマシンの開発やアップデートにおいて、当然ながらフェルスタッペンを優遇。「限られている」(ローラン・メキース新代表談)という新型パーツの提供も、手塩にかけてきたエースを最優先に実行している。それは他でもない角田が記者たちに向けて「僕らの比較はフェアじゃない」と漏らす通りでもある。

 以前までは、「(リアム・ローソンと角田のシート交代は)絶対に正しい。ローソンは完全に消耗していたし、数戦休む必要があった」と自信を見せていたマルコ博士。しかし、角田の成績不振が続き、更迭論がしきりに叫ばれる段階で、責任を追及するあたりは、「何が悪かったかをズバッと言ってくる」(角田談)人物の“らしさ”すらある。

 来る8月3日(現地時間)に決勝を迎えるハンガリーGP後にF1は、約4週間のサマーブレイクに入る。レーシングブルズで蜜月関係にあったメキース新代表の招聘によって一部で今季中の残留も見通されている角田だが、その去就は不透明なままとなっていた。

 しかし、「ポイントを取れなさすぎる」と断言したマルコ博士は自らの考えを明確にしている。

「我々は通常、夏休みまではドライバーについては話さない。ただ、ツノダは常にホンダの庇護を受けてきた存在だ。来週にもホンダと話し合いの場を持ち、どの方向に進むか決める」

 果たして、角田はレッドブルでの競争を続けられるのか。いずれにしても、ハンガリーGPで上位進出という“結果”が求められるのは間違いない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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