蹴球放浪家・後藤健生は、サッカー以外のスポーツを観戦することもある。最近の日課は、日本人のコンプレックスを吹き飛ばして…

 蹴球放浪家・後藤健生は、サッカー以外のスポーツを観戦することもある。最近の日課は、日本人のコンプレックスを吹き飛ばしてくれた「二刀流」の活躍。彼の「38号ホームラン」を見て思い出すのは、悲劇のヒーロー、ロベルト・バッジョが活躍した1994年アメリカW杯。当時の現地取材でかなえられなかった「宿願」を、来年の北中米W杯ではかなえたいという!

■イタリアが「不利」になった理由

 さて、ワールドカップ期間中もMLBは普通に試合をしていました。

 この大会の準決勝2試合は同じ7月13日に行われ、イタリアはニューヨーク(イースト・ラザフォード)でブルガリアを破りましたが、決勝戦のあるロサンゼルス(パサデナ)までは5時間のフライトを強いられました。一方、ブラジルは準決勝をパサデナで戦いましたから移動なしでした。

 本来は、ニューヨークの準決勝は1日前に行われるはずだったのですが、MLBのオールスター戦とバッティングするので、2つの準決勝が同日開催になってしまったのです。

 ボストンでのホテルは、本当にフェンウェイ・パークのスタンドのすぐ外だったので、部屋にいても歓声が聞えてきました。

 生で歓声を聞きながら、テレビでMLB中継を見るという面白い体験もしました。

■面白い「スポーツ文化」の違い

 しかし、試合が始まってからもゾロゾロと観客がやって来るのが見えましたし、試合が終わる前に球場を出て帰路に就く人も多いのです。中継を見ていると、接戦が続いているのに、です。

 日本の野球もそうですが、ベースボールというスポーツは、本場アメリカでも、サッカーとは違って試合開始から終了までを一所懸命に見ていなければならない競技ではないようです。「そんなスポーツ文化の違いも面白いなぁ」と思って見ていたものです。

 せっかく、フェンウェイ・パークの至近距離に泊まっていたのですから、生でMLBの試合を観戦したかったのですが、残念ながらさまざまな事情で観戦は実現しませんでした。

 その国で盛んな競技の試合を見にいくのはとても楽しいものです。日本の大相撲には外国人観光客がたくさん来ていますが、それと同じです。

■来年のワールドカップの「夢」

 アメリカではバスケットボールのNBAの試合を見に行ったことがありますし、オーストラリアではクリケットの試合を見ました(モンゴルに行ったら、ぜひモンゴル相撲を見てみたいものです)。

 ですから、ボストンでレッドソックスの試合を見られなかったのはとても残念なことでした。そういえば、1986年のメキシコ・ワールドカップのときにもメキシコの野球リーグを見ようと思って、ティグレス・デ・メヒコ(メキシコ・タイガース)のスタジアムまで行ったのですが、急に雨が降り出して試合が中止になってしまったことがあります。

 まあ、来年のワールドカップに行ったら、ぜひリベンジして、MLBかリーガ・メヒカーナ・デ・ベイスボル(メキシコ野球リーグ)の試合を観戦したいものです。

 1994年のワールドカップで、日本代表はアジア最終予選で敗れて出場を逃してしまいました(というより、このとき初めてワールドカップ出場が現実的な「夢」になりました)。

 また、野茂英雄さんがロサンゼルス・ドジャースに入団するのは1995年のこと。日本人選手がMLBで活躍することも、まだまだ「夢」だったのです。それから30年、日本のスポーツは大きく変わりました。

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