◇米国男子◇ウィンダム選手権 事前◇セッジフィールドCC (ノースカロライナ州)◇7131yd(パー70)リッキー・フ…

シーズン終盤のシャフト変更の意図を語るリッキー・ファウラー(提供PGAツアー)

◇米国男子◇ウィンダム選手権 事前◇セッジフィールドCC (ノースカロライナ州)◇7131yd(パー70)

リッキー・ファウラーはフェデックスカップポイントランキングのトップ70によるプレーオフシリーズ進出へ、ランク61位と“圏内”でレギュラーシーズン最終戦を迎えた。2季ぶりのプレーオフシリーズをほぼ手中にしている背景に、シーズン終盤に敢行したアイアンシャフトとドライバーシャフトの変更がある。

さらなる飛距離を求めたシーズン中のシャフト変更自体は珍しくないが、36歳のファウラーはグラファイト製シャフトに乗り換えたことで注目を集めた。6月「トラベラーズ選手権」でコブラ キング ツアーアイアンのシャフトをカーボン製のエアロテック スチールファイバー125cwに変更。低打ち出し、低スピンのスチール製・KBS ツアーCテーパー 125からスイッチした理由について、誰もが経験する「加齢」にあることを示唆した。

全英でカーボンシャフトを挿したアイアンを使うファウラー(Getty Images)

大会前の水曜、ファウラーは「トラベラーズの週だから、もうかれこれ1カ月以上経つね。体に負担をかけることなく、以前と同じ数字が出る。今のところ快調だ」と語った。

標準的なスチールシャフトと同等の数字と打感を実現するべく、グラファイトシャフトには表面に極薄のスチールファイバー層が加えられており、これが製品名の由来となっている。この加重により、重心位置が外側にずれるため、通常のスチールシャフトの性能を実現しつつ、同時にグラファイトの利点も享受できるのである。

スチールよりも振動減衰性が優れているのが複合グラファイトの利点。打感がより柔らかくなり、特に芯を外した時のコントロール性能が向上するほか、ダウンスイングでのエネルギー伝達が容易になることでボール初速がアップすることなどが挙げられる。

スチールファイバーシャフトは目新しいものではない。有名どころではマット・クーチャーがキャリアの大半で使用し、「ザ・プレーヤーズ選手権」やプレーオフシリーズの「セントジュード選手権」を含むツアー9勝を挙げている。

シャフト変更に踏み切った時点でプレーオフシリーズ進出へ当落線上だったフェデックスカップポイントランクは現在61位。第2戦「BMW選手権」、来季シグニチャーイベント(昇格大会)出場権につながるトップ50に手の届くところまで来た。シャフト変更後、アイアンの精度を示すプロクシミティ・トゥ・ホールは85位から72位へ、パーオン率は121位から111位へランクアップした。

「ジョンディアクラシック」ではドライバーのシャフトもチェンジした(Getty Images)

アイアンのシャフトを替えた2週後の「ジョンディアクラシック」では、コブラ DS-ADAPT X ドライバーのシャフトをUSTマミヤ Lin-Q プロト V1(6TX)に変更した。三菱ケミカル ディアマナWB(73TX)を使っていたが、今季2勝のベン・グリフィンと同じものを採用したのだ。

USTマミヤによると、この新しいプロトタイプには、より強度の高いカーボンファイバー素材が使用されており、ボール初速のアップを担保しつつ、安定性の向上に貢献しているとのこと。ファウラーはこの新シャフト投入後、ストロークゲインド・オフ・ザ・ティを65位からトップ50圏内に向上させている。

誰にでも飛距離、初速などの改善と増加の余地はある。ファウラーは「時間ができたら、異なる重量構成でさらにテストすることになると思う。僕らは常により良くなるものを、肉体的にも精神的にも、もっと簡単にできるものも求めている。だから、アイアン、ドライバーでの(新シャフトの)実戦投入はもちろん十分なものだったけれど、今後はもっと楽しみにしているんだ」と語った。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)