フェルスタッペンとの比較論に自身の考えを明らかにした角田(C)Getty Images 何かと世間を賑わせる“比較論”に…

フェルスタッペンとの比較論に自身の考えを明らかにした角田(C)Getty Images
何かと世間を賑わせる“比較論”に正直な想いを打ち明けた。声の主となったのは、F1のレッドブルに所属する角田裕毅だ。
彼が訴えたのは、一部メディアで語られる“エース”と自身の比較だ。現地時間7月31日、今季第14戦のハンガリーGPを前にしたメディア対応に登場した角田は、「毎セッション、毎グランプリで、常にコンスタントにパフォーマンスを発揮しているのは本当に素晴らしい」と同僚のマックス・フェルスタッペンを称賛。「簡単にできることではない。でも、彼はそれを簡単にこなしているようにやってのける」と続けた上で、こう論じた。
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「同時に、僕らを単純比較をするのはフェアじゃないとも思う。僕自身は彼と比較したくもない。彼は9年もあの車に乗っているけど、僕はまだ飛び乗ったばかりだ。それに僕は……、とにかく同じクルマを手に入れられるどうかを見てみよう。その時点まで、直接比較することはできない」
今年3月末に電撃昇格して以来、レッドブルでは獲得ポイント3と苦心してきた角田。その間に更迭も囁かれもしただけに、上述のコメントは偽らざる“本音”と言えよう。
今季までF1を4連覇してきたフェルスタッペンが当代屈指の才能を持つドライバーであるのは間違いない。一方で、セカンドドライバーたちと同スペックではないマシンを走らせているのも事実だ。実際、クリスチャン・ホーナー代表の時代にレッドブルは、偉才にマシンアップデート(改良)を集中投入していた。
今季のレッドブルが採用するマシン『RB21』は操作性が難しく、「じゃじゃ馬」とも揶揄される。そうした中でエースを優遇してきたチーム事情は、フェルスタッペンの“ワンマンチーム”と言われてもおかしくはないものであった。
もっとも、去る7月27日に決勝を迎えたベルギーGPでは、新代表となったローラン・メキース氏の指示によって、角田のマシンにも新型のフロアパーツが装着された。だが、依然として多くのパーツは最新ではなく、さらに導入されたフロアパーツもフェルスタッペンが使用していた部品と完全同一のスペックではなかったとも伝えられている。
ゆえに角田も「不公平」と比較を嫌ったのだろう。さらに「(ベルギーGPでも)ポイントを取れなかったのは、全く理想的ではない」と語る日本人ドライバーは、こうも続けている。
「少なくとも僕の方のガレージでは、明確な進歩とペースがあることがエンジニアリングの面で分かっているのは、僕の助けになる」
「同じクルマを手に入れるまでは、僕はただ自分自身のことに集中する。自分が改善すべき点は明確に理解しているし、今は自分のペースで一歩ずつ進んでいる」
堅実なエンジニアリングで定評を集めるメキース新代表の下で、改善の兆しを見せ始めている角田。「普通に予選をさせてほしい」と漏らしたこともある彼が、絶対的エースと同装備でパフォーマンスをできる日は訪れるのだろうか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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