今夏のトレード期限までの放出が濃厚となっていたスアレスを出さなかったパドレス(C)Getty Images 真夏の名物と…

今夏のトレード期限までの放出が濃厚となっていたスアレスを出さなかったパドレス(C)Getty Images

 真夏の名物ともなっているメジャーリーグのトレード期限最終日。毎年、多くの有力選手を巡る交渉が成立する同日において、今夏は“打倒・ドジャース”を目論む名門が動いた。

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 現地時間7月31日、パドレスは矢継ぎ早に大型補強を展開。期限を目前にした駆け込みで、放出選手を含めれば、計22人が動く契約を成功させた。

 ただ、やみくもに動いたわけではない。敢行したのは、まさに敢適材適所の補強である。

 最も目立つのは、MLB全体のトッププロスペクトランキング3位のレオ・デ・ブリーズを見返りに、アスレチックスから獲得した剛腕守護神メイソン・ミラー(←アスレチックス)。最速167キロを誇る“死神”は、将来的な先発再配置を見込んでもいる。

 さらにパドレスは課題だった外野手(主に左翼手)と捕手のテコ入れも成功。ロイヤルズから捕手のフレディ・フェルミン、オリオールズから強肩自慢のラモン・ロウレアーノと強打のライアン・オハーンをそれぞれ獲得し、戦力の底上げをしている。

 また、ブルワーズからは金銭トレードで技巧派左腕のネストル・コルテスも獲得。球団のファーム組織の戦力ダウンが否めない若手有望株を計14人も失ったとはいえ、合計8人の即戦力の補強に成功している。

 パドレスの本気度は現有戦力の維持からも垣間見える。とりわけ目を引くのは、守護神を務めるロベルト・スアレスの残留だ。現行で2年1600万ドル(約23億3600万円)の契約を残す34歳の元阪神助っ人は、今季のトレード市場で人気銘柄化。カブスやヤンキースなど複数球団から関心を示された。

 だが、結果的にパドレスはスアレスを手放さなかった。これによって、彼らは中継ぎ陣の強化を実現。ベテラン右腕はセットアップに回ると見られるが、ミラーとの方程式は鉄壁となり得る。実際、米紙『USA Today』のボブ・ナイチンゲール記者は「スアレスの残留によって、パドレスは球界最高のブルペン陣を手に入れる。彼らはより恐ろしい存在になった」と絶賛している。

 大型補強を成功させたパドレス幹部も手応えを口にする。MLB公式サイト『MLB.com』の取材に応じたAJ・プレラーGMは、「優秀な選手を獲得するには、優秀な選手を手放さなければならないことは理解している」と発言。トッププロスペクトの大量放出を仕方がないという見解を示しつつ、「彼ら(現有戦力)がチームを、今、そして将来に向けて良い位置に導いてくれたなら、それは良い結果だと言える」と“投資”の意図を強調した。

 ナショナル・リーグ西地区で追走するドジャースとは、現時点でゲーム差3。決して追い越せない差ではなく、真夏の大補強が当たれば、“逆襲”が可能となる。「打倒・銀河系軍団」への準備を整えた精鋭集団がどのような戦いを見せるかは興味深く見守りたい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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