「世界水泳シンガポール2025」17日目が7月27日に行われ、ハイダイビング男子決勝ではカルロス・ヒメノ(スペイン)が…

「世界水泳シンガポール2025」17日目が7月27日に行われ、ハイダイビング男子決勝ではカルロス・ヒメノ(スペイン)が425.30点で銀メダルを獲得。しかし優勝をかけた最終演技で、あわや大事故の背筋が凍るような瞬間があった。
ラウンド6、最終ダイバーとして登場したカルロス・ヒメノが最後に選んだのは4回転3回捻り、5.8の高難度演技だ。この技で118.4以上をあげると金メダルが確定するという重要な局面だった。
この大事な演技に勝負をかけたヒメノは、飛込台の先端に立ち、慎重に逆立ちのポジションをとりはじめる。解説の寺内健氏が「逆立ちは失敗できない。立ちなおしても2点減点、2回立ちなおすともう0点ですからね」と説明。言葉通り失敗すれば命取りの緊張が高まる瞬間だった。
両手をついて、揃えた両脚をゆっくりと上に持ち上げていったそのときだ。脚を伸ばしきる手前で体を支えている腕がブルっと大きく揺れ、ガクンと肘が曲がり、バランスを崩して全身が大きくぐらついた。

実況の田畑祐一氏は思わず「おおっと!」と叫び驚きのあまり言葉を詰まらせると寺内氏も「風があるのか...落ち着いて」と緊張した様子。その後ヒメノは体勢を整えなおすも少し焦り気味に飛び出した。
入水直後、寺内氏は「あああやっぱり。最初のぐらつきが影響しましたね」とコメント。続けて「おそらくちょっと焦って飛び出した。風があったからなのか...緊張すると手が震えます。となると落ち着いた逆立ちができない」と推察した。
そして「おそらくこの世界チャンピオンをかけた1本っていうのは、彼は多分初めての経験なので、そのプレッシャーの中、よく戦い抜いた」「思いはすごく強いと思う」と言葉を重ねるなか結果が発表される。

スコアは、114.80と金メダルには4ポイント足らず。結果が表示されるとヒメノは両手で顔を覆い涙ながらに足早にその場から立ち去った。一方、最後の大逆転で金メダルを獲得した1位のリヒテンスタンはライバルたちに祝福され嬉し涙を見せていた。
その様子に寺内氏は「しのぎを削って強くなってきてるんだなと感じされられました」と感慨深げに語り、最後に金メダルを逃したヒメノに対しては「可能性を感じたともいえるし、悔しかっただろうし、また強くなって帰ってくることを楽しみにしたいですね」とエールを送った。
(ABEMA『SPORTSチャンネル』)