8月1日から始まる国内最高峰クラスのオートバイレース「鈴鹿8時間耐久ロードレース(8耐)」に、鳥取市の女性が監督を務め…
8月1日から始まる国内最高峰クラスのオートバイレース「鈴鹿8時間耐久ロードレース(8耐)」に、鳥取市の女性が監督を務めるチームが出場する。スタッフ時代を含めて5回目の挑戦となる今回は、ほぼ鳥取県関係者で臨む。監督の船本真弓さん(54)に、レースにかける思いを尋ねた。
――8耐出場は3年ぶり。ライダーは前回と同じく、鳥取市の久野光博さん(54)とのタッグですね。
今年の初めごろまで、8耐に出るつもりはありませんでした。スポンサーの確保、ライダー探しなど課題が多すぎて。ところが、知らないうちに久野さんが「トライアウト」という8耐出場権を争うレースにエントリーしていました。
――トライアウトは4月に鈴鹿サーキットであり、30台が出場。上位12チームに残り、8耐出場権を獲得しました。
久野さんはスタートに失敗しましたが、1周ごとに順位を上げました。好調だったみたいで、ベストタイムを更新しました。
――オートバイレースにかかわるようになったきっかけは。
10年余り前、瓦職人をしながら8耐出場を目指していた久野さんと知り合い、誘われました。8耐のレースクイーンをした経験もあり、あの雰囲気が好きでした。でもライダーはしたくない。怖がりなんです。
――監督は何をするのですか。
準備段階では、企画書を書いてスポンサー集めをします。出場にはざっと800万円(車体の購入費を除く)が必要。レースでは、ライダーの乗る順番や交代のタイミングを決め、ライダーの体調や車体に異変が出ていないか気を配ります。ちょっとした変化に、なぜか私は勘が働くんです。
交代したライダーは冷水に漬かって体を冷やすのですが、そのプールも用意します。
久野さんは、オートバイが乗れない私に文句一つ言いません。言いたいこともあるんでしょうが、それが信頼関係なのかな。
――どんなレースにしたいですか。
私は久野さんのファンなので、久野さんが速く走る姿が見たい。50代だと初老とかおっさんとか言われたりしますが、自分も含めて、だからこそできることがある。女性の監督や50代のライダーを見て、「ようやったな」「自分も頑張らなきゃ」と鳥取県の人たちに思ってもらえたら。淡々と走って完走してほしいです。(清野貴幸)
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三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開かれる8耐は、最高時速300キロ近いスピードが出るマシン(排気量千ccなど)で、1周約5・8キロのコースを8時間で何周できるかを競う。ライダーは2~3人が交代して走る。
船本さんらのチーム名は「Verity OIL & fenice KT with KIRINJISHI」。鳥取市など鳥取県東部に伝わる伝統芸能・麒麟(きりん)獅子舞が入っている。
鈴鹿サーキットのレース事務局によると、今年は55チームがエントリー。8月1日の公式予選で基準タイムをクリアすれば3日の決勝に進む。
久野さんは6月下旬、船本さんとともに鳥取市役所を訪れ、「鳥取のチームで8耐に出場するのが夢だった。決勝では完走を目指したい」と抱負を語った。久野さんは2014年、19年、22年と8耐で完走。今回はエースライダーを務める。(清野貴幸)
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ふなもと・まゆみ 鳥取県北栄町出身。JA全農とっとりの「わかとりメイツ」に選ばれ、レースクイーンなどを経験。司会業や選挙の運動員を本業としている。(清野貴幸)