見た目にはわからないけれど、将来に大きな影響を及ぼす可能性のある「男性不妊」。それが、実は中高生の時期から始まっているか…
見た目にはわからないけれど、将来に大きな影響を及ぼす可能性のある「男性不妊」。それが、実は中高生の時期から始まっているかもしれないのです。
男性不妊治療を専門とする医療法人社団マイクロ会が、全国の15〜19歳の男子学生を対象に「性器の違和感に関する意識調査」を実施した結果、10代の男子の多くが“気になる症状”を抱えながら、誰にも相談できていない現実が明らかになりました。
約6割が「中学生のときに違和感を覚えた」
今回の調査では、300名の男子学生のうち35.0%が「性器に違和感を感じたことがある」と回答。その中で特に注目されたのが、男性不妊の代表的な原因である「精索静脈瘤」や「陰茎湾曲症」が疑われるケースが少なくなかったという点です。
▼ 精索静脈瘤の疑いがあるとされる症状
陰嚢の左右差がある精巣の大きさに左右差がある一方が常に垂れ下がっている表面がデコボコしている血管が浮き出ているこれらの症状に該当する男子学生の約6割が「中学生の頃に違和感を覚えた」と回答しており、思春期から身体の変化に気づいていたことが分かります。

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「相談しない」「誰にも言えない」が当たり前になっている
しかし、それ以上に深刻なのが、違和感があっても相談経験がない学生が大多数であるという現実です。
精索静脈瘤が疑われる29名のうち、約59%が「誰にも相談していない」陰茎湾曲症の疑いがある20名は全員が「誰にも相談していない」

さらに、「病気だとわかっても何もしない」「放っておく」と回答した人も多く、性器の問題は相談しにくい、恥ずかしい、という思いが強く根付いていることが浮き彫りになっています。

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放置はNG! 精索静脈瘤・陰茎湾曲症は「将来の不妊原因」になることも
精索静脈瘤とは?精巣周囲の静脈が異常に膨らんだり、蛇行したりする状態。これにより精巣の温度が上がり、精子の質(運動率や濃度)が低下してしまうことがあります。放置すると将来、体外受精や顕微授精といった高度な不妊治療が必要になるケースも。
ただし、手術により改善が可能で、再発も少ないとされているため、早期の気づきと受診が非常に重要です。
陰茎湾曲症とは?勃起時にペニスが大きく曲がる状態。性交時に痛みや困難を伴うことがあり、重度の場合は性生活に支障が出ることもあります。
10代では性行為の経験が少ないため、「問題」として捉えられにくく、深刻化してから医療機関を受診する例も多いのが実情です。
銀座リプロ外科院長/東邦大学医学部名誉教授 永尾光一医師のコメントも紹介します。
「精索静脈瘤は、男性不妊の原因の中でも約4割を占める重要な疾患です。しかし、認知度は極めて低いのが現状です。今回の調査では中学生の時点で“違和感”を覚えている生徒が多くいることがわかりましたが、相談率は極めて低く、病気としても認識されていません。さらに、陰茎湾曲症は、見た目の違いだけでなく、性交の際に痛みを伴うことがあります。見過ごされがちですが、進学・結婚・恋愛など将来のライフステージに大きく関わる疾患です。若いうちに気づければ、簡単な手術で解決でき、精神的なストレスも大幅に軽減できます。親御さんや教育関係者にもぜひ知ってほしい内容です。将来の不妊リスクを減らすためにも、性教育の現場で『男性も不妊になることがある』という基本的な知識と、早期発見・治療の大切さを伝えていく必要があります。医療機関への相談がしやすい環境を、社会全体で整えていくべきです」(永尾先生)
違和感を感じたら、まず泌尿器科へ相談を
身体のこと、特に性器まわりの違和感は、なかなか人に相談しにくい話題です。でも、違和感を覚えたら、それは体からの大事なサインかもしれません。
すぐに病院に行くことが難しくても、匿名で相談できる医療相談サービスや、保健室・学生相談室などを利用する選択肢もあります。
また、ネット上の情報だけで自己判断せず、「おかしいな」「変かも」と感じたら、早めに医療のプロに相談してみることが何より大切です。
男性不妊は、決して「大人になってからの話」ではありません。今回の調査結果が示すように、思春期からの身体の変化が、将来の生殖機能に関わってくる可能性もあります。
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【調査概要】
調査内容:中・高・大学生性器の違和感に関する意識調査
実施日:2025年6月30日から7月1日
対象:15歳~19歳(学生)
エリア:全国
性別:男性のみ
方法:インターネット調査(クロスマーケティング社のQiqumoを使用)
<Edit:編集部>