今年も甲子園出場校がすべて決まった。一方で超高校生球児たちの進路の行方も続々と発表されている。その中で、プロ志望届を出さ…

今年も甲子園出場校がすべて決まった。一方で超高校生球児たちの進路の行方も続々と発表されている。その中で、プロ志望届を出さず、進学・社会人行きを表明した12人の逸材たちを紹介したい。

 今年は高校生左腕豊富も進学、社会人を表明

 今年は5人の超高校級左腕が夏の大会前にプロ志望届を出さないことを明かした。

 まずは高校生NO.1左腕・芹澤 大地投手(高蔵寺)だ。高校日本代表候補にも選出され、候補合宿の紅白戦ではほぼストレート一本で相手を圧倒し、12球団のスカウトから注目を浴びていた。ただ、大会前に社会人行くことを表明している。

 この夏の名古屋たちばな戦で最速151キロを計測。強烈な腕のしなりから繰り出されるストレートは高校生ではなかなか見られない破壊力があった。課題だった変化球も少しずつレベルアップしており、カーブ、チェンジアップも良い抜けをしていた。制球力、イニングごとに出力など課題はあり、8回6失点に終わったが、厳しい競争の社会人野球でもしっかりと通用する投手ではないか。

 2人目は西村 一毅投手(京都国際)だ。昨夏は防御率0.00で甲子園優勝に貢献した西村はこの1年でストレートがスケールアップ。140キロ前後だった球速は146キロまで伸びた。鋭く落ちるチェンジアップも武器。この夏は25回を投げ、33奪三振、防御率1.08の快投で、2年連続の甲子園出場を決めた。プロ志望届を提出すれば、指名があるという声も多い。しかし西村は3月の練習試合の時点で、進学を表明している。

 3人目は桑山 晄太朗投手(津田学園)だ。春季三重県大会、春季東海大会で最速149キロ、常時140キロ中盤の速球と、切れ味抜群のカットボールで三振を量産する投球を披露し、話題となった。春季大会の時点で進学を表明し、最後の夏は6年ぶりの甲子園出場を目指し、腕を振った。津商との決勝戦では無死満塁のピンチを招きながらもそれを凌いで、1対0の完封勝利で甲子園に導いた。甲子園に出場する投手では西村に並んで屈指の好左腕。快投を期待したい。

 4人目は洲永 俊輔投手(佐野日大)だ。左スリークォーターからクロス気味に入る140キロ中盤の速球は威力があり、低めに決まるスライダーも絶品。春季関東大会では140キロ台の速球を連発する投球を披露したが、進学表明した。この夏は初戦の栃木商戦で5回10奪三振、無失点の快投を披露した。

 5人目は中村 心大投手(早稲田実)だ。昨夏、今年のセンバツと二度の甲子園に出場。最速146キロの速球、鋭く曲がるスライダーのコンビネーションで奪三振を量産する。完投能力も高く、和泉実監督も全幅の信頼を置く大エースだ。4月には高校日本代表候補にも選出され、実績は十分だが、早稲田大に進学する見込みだ。この夏は準々決勝で敗退したが、敗れた国士舘戦で8回1失点の好投を見せた。

4人の超高校級スラッガーも進学へ

今年は超高校級のスラッガーたちも進学希望者が多い。

 高校生NO.1外野手・阿部 葉太(横浜)はセンバツ後に進学を表明したが、この夏も頼りになる活躍を見せた。神奈川大会準々決勝の平塚学園戦では1点ビハインドの状況で、フルカウントから逆転サヨナラ適時二塁打を放った。土壇場でも力を発揮できる勝負強さに称賛の声が相次いだ。走攻守の総合力の高さ、精神的な強さを見れば、アマチュア界ではやることはないというぐらいという評価もある。

 この夏の甲子園、そして大学球界でどんな伝説を残すのか、楽しみな選手だ。

 阿部に並ぶスラッガーとして注目された中村 龍之介外野手(東海大相模)は25打数10安打、3本塁打、10打点と昨年から長打力を大きく伸ばした。東海大相模・原俊介監督が「打撃の天才」と評する打撃技術は健在で、申し分ない内容だった。大会後に進学を表明した中村は、大学4年間で着実に実績を残してほしい。またスラッガー・金本 貫汰内野手(東海大相模)も進学すると見られている。

 小松大谷の田西 称内野手も高校日本代表候補の強化合宿で進学を表明している。この合宿に行われた打撃練習ではただ1人、本塁打性の打球を連発し、過去に高卒プロ入りしたスラッガーにひけをとらない実力を持っていた。しかし、「長く野球選手として活躍できるため」に進学を決断した。この夏の石川大会では18打数10安打、2本塁打、8打点と圧巻の活躍を見せた。夏の甲子園では昨夏の甲子園で打てなかった本塁打を打つことができるか。

プロ志望ならば指名の可能性はあった3人の速球派右腕

 右投手では153キロ右腕・新井 瑛太投手(滝川)が進学を表明した。昨夏の時点で140キロ後半の速球を投げ込み、高校日本代表候補にも選出され、参加投手最速の147キロを計測した。打撃センスも高く、二刀流としての評価も高い新井はこの夏、3回戦敗退となったが、制球力も高まり、実戦的な投球ができるようになっていた。

 150キロ右腕・山田 怜投手(浜田)も進学を表明。この夏は3回戦で大社相手に9回13奪三振、3失点の力投。投球フォームのバランスもよく、伸び上がるようなストレートは高卒プロに進んでもおかしくない投手だった。菊地 斗夢投手(旭川北)は186センチの長身から最速146キロを誇る本格派右腕。身体能力も非常に高く、伸びのあるストレートは一級品。支部予選では多数のNPB球団スカウトが詰めかけた。惜しくも初戦敗退に終わり、試合後、進学を表明した。

 プロではなく、進学、社会人を選択した球児たちは3年後、もしくは4年後に再びドラフト候補となる。大きな成長に期待したい。