第107回全国高校野球選手権埼玉大会は、叡明の春夏通じて初の甲子園出場が決まり、幕を閉じた。今大会までの軌跡と、153…

 第107回全国高校野球選手権埼玉大会は、叡明の春夏通じて初の甲子園出場が決まり、幕を閉じた。今大会までの軌跡と、153校139チームが大熱戦を繰り広げた13日間を振り返る。

 混戦の2025年だった。24年秋、今春と県大会の覇者は入れ替わった=表。25年夏の埼玉大会を制するのは、誰か。

 23~24年の秋・春・夏のすべてを制して「グランドスラム」を33年ぶりに達成した花咲徳栄のような絶対王者はいない。

 こうして開幕した25年の埼玉大会。二つのノーシード校の躍進が、混戦に拍車をかける。

 まずは15日の3回戦。軟投派左腕・石井健大郎投手(3年)を擁するノーシードの滑川総合が、春王者の浦和学院の強力打線を1失点に抑えて大金星をあげた。

 多くの予想を覆す結果に、浦和学院の西田瞬主将(3年)は「この仲間と甲子園に行きたかった」と涙をのんだ。

 次は、昨年の絶対王者が姿を消す。19日4回戦。花咲徳栄―昌平という昨夏の決勝と同じ顔合わせだった。ノーシードで勝ち上がった昌平の窪田竣介投手(3年)が九回まで1失点に抑え、昨夏と同じタイブレークに突入。延長十回に諏江武尊選手(3年)のサヨナラ満塁本塁打で劇的な勝利をつかんだ。

 勢いに乗る昌平は、昨秋を制した浦和実との準決勝へ。U―18日本代表の候補にも選ばれた浦和実の石戸颯汰投手(3年)と、昌平の窪田投手や最速141キロの木下雅斗投手(3年)の継投は互いに本塁を踏ませぬ投手戦を八回まで展開。昌平がサヨナラのスクイズで勝利し、2年連続で決勝にたどり着いた。

 波乱をよそに、順調にトーナメント表を勝ち進むのが叡明だった。

 増渕隼人投手(3年)と田口遼平投手(3年)の二枚看板が好投。打率4割超えの細沼慶聡選手(3年)を下位におく切れ目のない打線で準々決勝までの5試合連続でコールド勝ちを決めた。

 27日の決勝。同点で迎えた五回に昌平の桜井ユウヤ主将(3年)が本塁打で勝ち越し。叡明は、六回に連続長短打などで3得点し逆転、九回にも四球に連打を絡めて追加点。5―2で夢の舞台への出場をつかんだ。甲子園に初出場の埼玉県代表は、2008年の第90回記念大会以来、17年ぶり。

 敗退した残る138チームも、それぞれの輝きを放った。例えば、2回戦までに4チームすべてが敗退した連合チーム。一度は野球を諦めた球児が転校して続ける先にもなっていた。高校野球人口は減っている。日本高野連のデータ(各年5月末時点)によると、埼玉県高野連の加盟校の部員数を25年と15年で比べると1733人減った。単独で出場ができなくなっても、連合チームでその機会を得ることは、球児の人生を拓(ひら)く可能性がある。(恒川隼、折井茉瑚)