<2025年全国高校野球選手権埼玉大会:叡明5-2昌平>◇27日◇決勝◇県営大宮球場 昌平はこれで2年連続3度目の夏決勝…

<2025年全国高校野球選手権埼玉大会:叡明5-2昌平>◇27日◇決勝◇県営大宮球場

 昌平はこれで2年連続3度目の夏決勝。昨年はタイブレークの末敗戦しているだけに、この日勝って何としても甲子園に行くはずだった。

 先発は昌平が前の試合に続き、最速148km右腕・窪田竣介(3年)。一方の叡明は、エース増渕隼人(3年)が登板し試合が始まる。

 この試合、「増渕君に対しては高めのボールに反応せず外のボールを打つ指示を出していた」(岩﨑監督)

「前の試合から相手が意図的に高めに来ることはわかっていて、今日はずっとその攻防でした」(櫻井)と、インハイをうまく使う叡明投手陣vs強打の昌平打線が試合のキーポイントになる。

 昌平は2回表、2死二塁から8番・細沼慶聡(3年)が中前適時打を浴び叡明に1点を先制を許すもすぐに巻き返す。

 3回裏、2死一、三塁でワイルドピッチで同点とすると、5回裏2死、主砲・櫻井ユウヤ(3年)が「高めに合わせていたら低めに来たんで」と、今大会待望の第1号は左中間上段へ特大の1発を放ち勝ち越しに成功する。戻ってきてしばらく絶叫を繰り返す櫻井。

 だが6回表、1死から赤城翔(2年)、笘大悟(3年)の連続長短打で同点とされ、なお1死三塁のピンチを招く。本来であればここで登板してもおかしくなかった佐藤佑輝(2年)は準決勝登板後、負傷し決勝の登板を回避。

 昌平ベンチは窪田から「東川の球威に賭けた」(岩﨑監督)と、194cm98kgの長身右腕・東川一真(3年)へスイッチする。だが、これが誤算だった。2四死球と乱れ、1死満塁と傷口を広げ、エース・木下雅斗(3年)へ。木下も代わり端、細沼に中前適時打を浴びるなど、この回一挙3点を失い2対4と逆転を許す。

 打線は制球が良く意図的に高めをうまく使うバッテリーに苦しむ。なかなか連打が出ず、2点ビハインドのまま試合は最終回へと進む。

 7,8回と叡明打線を抑えていた木下であったが、9回表、2死二塁から田口遼平(3年)に右前適時打を浴び2対5と大きな追加点を失う。

 そしてその裏。マウンドには田口が上がる。

 このままでは終われない昌平は佐藤光輝(2年)と中川大雅(3年)のヒットなどで2死一、三塁とし、打席には今大会好調の諏江武尊(3年)を迎える。

 諏江が打席に入る前、櫻井は「やることやって俺に回してこい」諏江に一声。諏江も「絶対に回すぞ」って、リアクションをする。

 だが、櫻井に5打席目は回って来なかった。

 叡明が春・夏通じ初の甲子園。昌平の夏は2年連続準優勝で終わった。「増渕君に対応しきれなかった。打線が2点ではキツい。打撃が精彩を欠いた。投手陣は初めから窪田、東川、木下って決めていた。東川は次のステージで頑張ってもらえたら。選手を甲子園で戦わせてあげられなかったのは残念。今年の代は力がなくて正直キツいと思っていたが、よくここまで勝ち上がってくれた」と、岩﨑監督は敗れはしたがここまで勝ち上がった選手達を讃える。

 櫻井も試合後は泣き崩れるわけでもなくどこか達成感を感じた。というのも「秋・春は生意気にも自分1人で野球をやっている時期があった」と、自らの孤立を告白。秋は敗れて1人で泣いていた。でも今は打線が繋がる。「この7試合自分が打っていない試合で皆が打ってくれたり、お前が勝負されなくても俺が返すからいいよとか、自分が1人にならないような声掛けを皆がしてくれた」と、チームで戦うことを覚え、後ろへ繋ぎ皆で得点する喜びを得た。

 8回裏、高校最終打席は四球。でも「先頭で四球の場面は1年前の夏なら待てのサインでも打っていた。今は先頭打者で自分が本塁打を打っても1点にしかならないからチームプレーに徹した」と、どこか満足げであった。9回裏も「諏江は副キャプテンだし3番打者だしやってくれると。絶対に回してくれる1,2,3番だったので1,2,3番がダメだったんなら俺もダメだったかなと。負けたけど皆にありがとうって気持ちが強い。お母さんにも感謝」と、チームの成長と共に主将としても成長した櫻井。

「プロ志望を出す。日本を代表する打者になりたい」と、櫻井はこの悔しさを次のステージでぶつける。