<2025年全国高等学校野球選手権奈良大会:天理3-2智弁学園>◇28日◇決勝◇さとやくスタジアム 天理が智弁学園とのラ…

<2025年全国高等学校野球選手権奈良大会:天理3-2智弁学園>◇28日◇決勝◇さとやくスタジアム

 天理が智弁学園とのライバル対決を制して優勝。3年ぶり30回目の甲子園出場を決めた。

 天理は1点を追う2回表に一死二、三塁から9番・松村 晃大投手(3年)の左越え3ラン本塁打で逆転に成功。このリードを3投手の継投で守り切った。

 センバツまでは攻撃の中心選手でもある下坊 大陸外野手(3年)と伊藤 達也内野手(3年)が投手陣を支えていたが、この2人はこの試合で登板していない。下坊に至っては大会全体ですらマウンドに上がる機会がなかった。今大会の投手起用について、藤原 忠理監督は意図をこう語っている。

「近年の高校野球は打力が上がってきています。低反発バットにもみんなが慣れてきました。センバツの反省から野手をピッチャーに持っていくよりもちゃんとブルペンからピッチャーに行かせた方が良いと私も勉強させてもらって、春からこういう形で育ててきました。ブルペンでキャッチャーから『こういう球が良い、こういう球がダメ』と伝わるように練習してきました。野手からマウンドに行くと、何が良いかわからない形になってしまいますからね。夏は春より打力が上がりますし、猛暑のことも考えて全員で準備して、大会に入ることができました」

 野手は野手、投手は投手に専念させることで万全の準備をすることができた天理。先発を任されたのは右下手投げの松村だった。

 下手投げにしたのは昨年11月。上手からは140キロ台の速球が出るそうだが、下手投げにしてから制球が安定したという。

「最少失点で抑えて、打線の援護を待つのが自分の仕事」と語る松村は初回に1点の先制を許すが、2回表に自身の3ラン本塁打で逆転すると、それ以降は粘り強い投球で智弁学園に得点を許さない。

 5回裏、無死一塁で3番・近藤 大輝外野手(3年)を迎える場面で投入されたのが左横手投げの橋本 桜佑投手(2年)。春の県大会決勝・奈良大付戦でノーヒットノーランを達成している投手だ。

 智弁学園は2番から5番まで左打者が並ぶ。彼らが打線の軸になっていると藤原監督が判断しての起用だった。

 いきなり死球を与えて無死一、二塁とピンチを広げたが、「ポジティブに『次のバッターで抑えてやる!』ということを考えていました」と後続を断ち、流れを引き戻す。

 その橋本も7回裏に1点を返され、なおも一死満塁とピンチが続く。ここで投入されたのが、「指先に良い感覚を持っている」(藤原監督)と制球力に優れた長尾 亮大投手(2年)だった。

「3年生を絶対に甲子園に連れて行くという気持ちを持ってマウンドに上がりました」と長尾は二飛と遊ゴロでこのピンチを乗り切る。8回裏も三者凡退に抑え、優勝まであとアウト3つとなった。

 しかし、9回裏は2四球を出して、二死満塁と一打逆転サヨナラ負けのピンチを招く。その中でも長尾は「自分のやってきたことを出し切ろうと思いました」と全力で腕を振った。最後は代打の志村 叶大内野手(2年)を左飛に打ち取り、ゲームセット。激戦を制して、天理が秋、春に続いて3季連続で奈良の頂点に立った。

「接戦に持ち込むことを考えていました。そのシミュレーションはできていたので、慌てることなく進めることができました」と語った藤原監督。緊迫する場面でも選手たちは落ち着いていたようで、度重なるピンチを凌いできた。

 夏は初戦敗退に終わったセンバツの雪辱を果たす場となる。「悔しい想いを晴らせる場ができたので、一戦必勝でやっていきたいです」と意気込む主将の永末 峻也外野手(3年)。夏こそは強い天理をアピールしてみせる。