春の関東大会王者の健大高崎が群馬大会も制し、2年連続5回目の夏の甲子園出場を決めた。66校59チームの熱戦を振り返る。…

 春の関東大会王者の健大高崎が群馬大会も制し、2年連続5回目の夏の甲子園出場を決めた。66校59チームの熱戦を振り返る。

 健大高崎は第1シードの本命として大会に臨んだ。「常勝」が期待される選手たちは重圧をはねのけ、栄冠を勝ち取った。新チーム発足時から成長を重ね、選手層の厚さは全国トップクラスだ。

 成長したのは野球の技術だけでなく精神面も大きかった。投手陣をリードした捕手の小堀は決勝で優勝が決まり、うずくまる前橋育英の選手の背にそっと手を置き健闘をたたえた。準決勝の後には「どのチームも最後まで必死に向かってくる。高校野球のすごさを感じた。こうした素晴らしいチームの思いも背負って今後戦っていきたい」と話した。勝敗への執着だけでなく、相手を思いやる心を感じられた。

 前橋育英の荒井監督は決勝の前、「健大高崎に勝つには全国制覇するくらいのつもりで自分たちを高めないといけない」と語っていた。練習の成果を決勝の舞台で発揮し、健大高崎を延長十一回まで追い込んだ。選手たちは悔しさと同時に「もっとも成長できたのは人間力。前橋育英で野球をやってきてよかった」と口々に話した。

 今大会も好投手が多かった。決勝を含む5試合で失点3の強力投手陣を持つ健大高崎のほか、前橋育英の片岡、井沢は大会を通じて好投した。

 準決勝で大敗したものの潜在能力を感じられたのは東農大二の山田。高崎の黒田、利根商の森、前橋商の堤、桐生第一の斎川、桐生市商の小野、前橋の井野、勢多農林の蓬田、樹徳の小暮といった投手も素晴らしく、大会を引き締めた。

 公立勢の奮闘も観衆を感動させた。第2シードの桐生第一が入ったCブロックは公立の実力校がひしめいた。3回戦で高崎と前橋が対戦。延長十回タイブレークの末に高崎が競り勝った。高崎は準々決勝で桐生第一にも勝ち、21年ぶりのベスト4。一昨年夏優勝、昨夏準優勝の前橋商は今回もベスト8。利根商、桐生市商もベスト8だった。

 昨年から低反発バットが導入され、本塁打数は減少傾向だ。一昨年夏は27本、昨夏は大幅に減って18本、今夏は15本だった。健大高崎の杉山は2本塁打を記録した。

 近年は筋力トレーニングが徹底されてスイング速度が高まり、打球は依然鋭い。さらにヒットエンドランや盗塁など足を絡めた攻撃も目立っている。投手が投げると同時に三塁走者が走るスクイズに加えて、打球の行方によって三塁走者が本塁を突くセーフティースクイズも多用されるなど、戦術の高度化が感じられる。

 攻撃力の向上の一方、投手は低めの変化球を多用するようになり、捕手は手前でバウンドする球を止めなければならないケースも多くなった。健大高崎の小堀、東農大二の岡田、前橋商の小板橋、前橋育英の黒田といった捕手たちは体の正面でよく止めていた。

 1年生の活躍も目立った。健大高崎の神崎、前橋育英の新井はともに本塁打を記録した。2年生も健大高崎の石田、東農大二の半杭が本塁打。桐生第一の4番松島らの2年生も来年が楽しみな存在だ。

 今夏も暑さ対策が課題となった。アイススラリーや経口補水液の配備、クーリングタイムの導入など様々な対策とともに、暑熱順化といった準備も重要になってくる。(八木正則)