(28日、第107回全国高校野球選手権岐阜大会決勝 県岐阜商10―0帝京大可児) 九回2死一塁。10点差をつけ、勝利は…
(28日、第107回全国高校野球選手権岐阜大会決勝 県岐阜商10―0帝京大可児)
九回2死一塁。10点差をつけ、勝利は目前だった。「自分の所に飛んでこい」。県岐阜商の駒瀬陽尊(きよたか)二塁手(3年)は願った。「カキン」。力の無い打球が跳ねながら向かってきた。素早く捕球すると二塁ベースカバーの稲熊桜史遊撃手(2年)にトス。試合を終わらせると、笑顔で右手を高々と挙げた。
昨夏は遊撃手で出場。「色んな動きをしたり指示をしたりと二塁手は難しい。野球が分かっている選手じゃないとできない」(藤井潤作監督)との理由でコンバートされて迎えた今夏。思い入れはひときわ強かった。
昨夏の決勝。岐阜城北との死闘は延長戦にもつれ込んだ。十回裏、二塁走者の駒瀬選手は味方の中前打で一気に本塁へ。だが相手の好返球に阻まれ、タッチアウト。サヨナラ勝ちを逃した。
「セーフになっていれば先輩たちと一緒に甲子園に行けた。何も考えられず、悔しかった」と振り返る。
無念の夏が終わり、監督が交代した新チームは、昨秋も今春も県大会8強止まり。「みんな『このままじゃ終われない。絶対巻き返してやるぞ』という気持ちでした」。藤井監督の下で懸命に練習に取り組んだ。鍛治舎巧・前監督時代からの「フルスイング」も心がけ、チームは今大会の6試合中4試合で2桁得点。自身を含め計8本の本塁打を放った。強打に加えてつなぐ意識も高め、相手を圧倒した。
「(昨夏の)悔しい気持ちを忘れずに練習を続けてきたことが結果につながったと思います」
チームは3年ぶりの聖地へと向かう。昨夏の先輩たちに伝えたい言葉は――。「去年の借りは返しました。甲子園で見ていて下さい」(高原敦)