日本代表の優勝で幕を閉じた男子のE-1選手権。ほとんどの記者はすぐに隣国を後にしたが、蹴球放浪家・後藤健生は現地に残っ…

 日本代表の優勝で幕を閉じた男子のE-1選手権。ほとんどの記者はすぐに隣国を後にしたが、蹴球放浪家・後藤健生は現地に残った。そこで見えてきた韓国の「最新マネー事情」とは?

■主要通貨より「0」が多い日本と韓国

 日本円は1ドルが145円程度のレートが続いています(遠い昔は360円の固定相場だった時代があり、また日本経済が最も強かった頃には1ドル=80円という今から思うと夢のような時代もありました)。

 つまり、ドルより「0」が2つ多いのです。ユーロに対しても、ポンドに対しても「0」が2つ多いのです。それで、よく外国人に「日本は経済大国なのに、なぜ円は主要通貨より0が多いのか?」と聞かれることもあります。

 これは、第2次世界大戦後のインフレのせいです。明治時代の初めは1円は約1ドルでしたし、1920年代頃も1円は2ドル台だったそうです。

 一方、韓国のウォンは、日本円よりもさらに「0」が1つ多いわけです。ドルやユーロに対しては「0」が3つ多くなります。

 一方で、韓国の物価は日本とそれほど変わりません。今回の旅行での実感では、ホテル代は日本の70%くらい。交通運賃は日本よりはるかに安い。そして、食べ物は日本並み、または日本以上に高かった印象です。とくに、高級料理店よりも庶民的な店の値上がりがはなはだしく、一般庶民はかなり厳しい状況のようです。

 つまり、昼飯は1万ウォン=1000円以上といった感覚です。

■1万ウォンが「最高額紙幣」だった時代

 そんな韓国で5万ウォン紙幣が初めて出回ったのは、2009年のことでした。それまで、最高額紙幣は昔は1万ウォンだったのです。

 当時はまだキャッシュレス時代ではありませんでしたし、海外の信用カードは使えないことが多かったので、当面の生活費は現金で持ち歩く必要がありました。しかし、最高額紙幣が1万ウォンということは、1万ウォン札を10枚以上持ち歩く必要があるということです。

 それで、油断していると財布の中は1万ウォン札と小銭でいっぱいになってしまいました。

 それが、今では紙幣など(Tマネーのチャージ以外には)必要なくなってしまったのです。

 そういえば、今年の2月にU-20アジアカップ観戦に行った中国広東省の深センも完全キャッシュレスでした。

 深センでは、どんな支払いでも支付宝(アリペイ)を使いました。

 初日に、スマホを海外ローミングのまま使っていたら、アリペイが使えなくてかなり困りました。つまり、現金(人民元)は持っていたのですが、現金が使えないことが多かったのです。

 たとえば、深センの交通系ICカードの「深セン通」を買うのには現金が使えず、駅員に現金を渡して彼女の個人的なアリペイで購入してもらいました。

「アリペイ使えなかったら、どうしようかなぁ……」と思っていましたが、スマホを現地SIMに切り替えたらすぐに使えるようになり、その後はとうとう一度も現金を使うことがなくなったというわけです。

■世界中で進む「キャッシュレス化」、日本は…

 いずれにしても、カードやQRコード決済ですべてが済むのなら、海外通貨に両替することも必要なくなり、どこでいくら使ったかの記録も残るので旅行者にとってはとても便利になります。

 僕は、日本にいるときも現金はほとんど使いませんが、日本ではまだまだ「現金派」の人が多いようで、若い人でもジャラジャラと小銭を出して支払いをしている人が多いようです。キャッシュレスに慣れた韓国や中国の人たちにとってはとても不便でしょうし、「日本はなんて遅れているんだ」と思うことでしょう。

 キャッシュレス化は世界中で進んでいます。スウェーデンでは、いずれ通貨を発行しなくなるのではと言われています。いつまでも、財布をジャラジャラ言わせていると、日本はまたまたガラパゴス化してしまいそうです。

 もっとも、将来大規模な太陽爆発が起きて、電子情報が失われてしまったりしたら、電子決済は不可能になってしまいます。そのときの備えも必要だと思いますが……。

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