(28日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会決勝 東洋大姫路7―6報徳学園) 強力打線が「夏の東洋」をよみがえらせた…

 (28日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会決勝 東洋大姫路7―6報徳学園)

 強力打線が「夏の東洋」をよみがえらせた。

 同点で迎えた六回2死二塁。東洋大姫路の白鳥翔哉真選手(3年)は、気合が入っていた。「絶対に決めてやろう」

 マウンドに立つのは、報徳学園のエース岡田壮真投手(3年)。大会屈指の左腕で、白鳥選手は四回の満塁の場面で三振していた。

 5球目のスライダーに「体が反応した」。打球は左前適時打となり、塁上でガッツポーズした。

 考えていたのは、チームで決めていた「徹底事項」だけだった。外角の球に踏み込むこと、甘く入った変化球を狙うこと――。

 なぜなら、チームには「左投手に苦手意識があった」からだ。

 その意識が生まれたのは、今春の選抜大会2回戦の広島商戦。先発した左腕に翻弄(ほんろう)され、5安打で敗れた。

 東洋大姫路は先発メンバー9人中6人が左打者。一般的に左打者が苦手とされる、左投手への対応が急務だった。岡田龍生監督からは、「夏(の大会)は左(投手)しかこないぞ」と言われていた。

 そこで打撃練習では、特に左投手の球を多く打ってきた。渡辺拓雲主将(3年)は「『自分たちは打てる』という意識を捨て、『徹底事項』を意識するようになった」という。

 迎えた今大会は、準決勝までの6試合中3試合で相手チームの先発投手が左投げ。そこで、練習通りに狙い球を絞るなどして打ち崩してきた。白鳥選手は「もう苦手意識はない」という。

 東洋大姫路は1977年に全国制覇を果たすなど、かつて「夏の東洋」と呼ばれた。2011年を最後に夏の甲子園から遠ざかっていたが、今大会は苦手意識を克服し、7試合86安打の強力打線で兵庫の夏を制した。

 優勝を決めた後、白鳥選手は笑顔で話した。「もちろん狙うのは、日本一しかない」(原晟也)