◇米国女子◇ISPS Handa スコットランド女子オープン 最終日(27日)◇ダンドナルドリンクス (スコットランド…

涙もなく、堂々と祝福を受ける

◇米国女子◇ISPS Handa スコットランド女子オープン 最終日(27日)◇ダンドナルドリンクス (スコットランド)◇6538yd(パー72)

1mのバーディパットを決めると大歓声にはキャップをちょこっと触って控えめにリアクション。21歳のロティ・ウォード(イングランド)は、プロ初優勝の瞬間さえ貫録を感じさせた。

単独首位から出た最終日を5バーディ、1ボギー「68」で回り、通算21アンダーで2位に3打差をつけて逃げ切った。2週前の「エビアン選手権」を3位で終えてプロ転向し、プロ初戦での優勝は23年「みずほアメリカオープン」を制したローズ・チャン(当時20歳)以来となる。

ショットでチャンスを作り続けた4日間

4日間で奪ったバーディは24個、ボギーは3つだけとルーキーながら圧巻の安定感を見せた。大会を通してのフェアウェイキープ率は73.21%(41/56)、パーオン率84.72%(61/72)のショットメーカーは「終盤まで本当に良いショットをたくさん打てたので、本当にうれしい」とはにかんだ。

最終日を前に、「緊張はしますが、これまでの経験もあるし、(緊張すると)何が起こるかは分かっている。スタートするのが楽しみ」とプレッシャーを少しも感じさせない笑顔でコメント。世界ランク1位のネリー・コルダキム・ヒョージュ(韓国)、アリヤ・ジュタヌガン(タイ)らメジャー覇者らの追撃を振り切った強さはアマチュア時代から抜きんでていた。

優勝争いも淡々と

所属していたフロリダ州立大のゴルフ部ホームページによると、「フロリダ州立大学女子ゴルフ部史上最多のタイトル獲得数を誇る」。上位に入った試合や記録がズラっと並んだプロフィールは、他のチームメートの倍ほどもある。華々しい経歴をまとめると、2022~25年までに出た大学の試合30試合のうち、25試合でトップ10入り。24年「シェブロン選手権」でメジャーデビューを果たして23位に入り、6月に世界アマチュアゴルフランク1位に浮上。同年の「AIG女子オープン(全英女子)」は10位に入り、ことしの全英女子(31日~8月3日)の出場権も獲得している。

ことしは7月の欧州女子ツアー「KPMGアイリッシュオープン」でアマチュア優勝、「エビアン選手権」を3位で終えてプロ転向。ことしからLPGAが始めた優秀なアマチュア選手に米ツアー出場権を与える「エリートアマチュア・パスウェイ」制度が適用され、ウォードは第1号として本大会でプロ初戦を迎えた。

プロ初優勝への自信はあった

ゴルフの経歴だけでなく、ウォードは学生としても優秀だった。米大学のスポーツリーグが、毎年優れた成績を収めた学生アスリートを表彰するACC (Academic Honor Roll)に2度選出、スポーツマネジメント科で「3.75」(日本でいうA~A+相当)の成績をキープしていたという。明晰な頭脳を活用してゴルフもデータ派。「Upgame」というゴルフのデータ管理アプリを使って、アマチュア時代から数字に基づいて技術を磨いてきたことが、いまのショット力につながっている。

「この試合の前にも、メジャーやプロの大会にたくさん出場してきたから、すべてが全く初めてではなかった。経験を積めば積むほど、いい結果につながる」。アマチュア時代に数々のプレッシャーを乗り越えてきたルーキーにとって、プロ初優勝は決して早くはなかったようだ。(スコットランド・アーバイン/谷口愛純)