(27日、第107回全国高校野球選手権千葉大会決勝 市船橋8―7八千代松陰=延長10回タイブレーク) 長く続いた不調を吹…

(27日、第107回全国高校野球選手権千葉大会決勝 市船橋8―7八千代松陰=延長10回タイブレーク)

 長く続いた不調を吹き飛ばす一打だった。

 延長十回1死二、三塁。八千代松陰の勝部匠亮(3年)にとって、想定していた場面だった。

 大会前からタイブレークを想定した練習を繰り返していた。「とにかく間を抜くゴロを打ってつなげる野球をしよう」。兼屋辰吾監督の言葉を信じて振り抜いた球は勝ち越し打となり、勝利を目の前まで引き寄せた。

 1年秋に右ひじを疲労骨折。球を投げることも打つこともできない期間が半年以上続いた。野球ができないことで、逆に野球ができる喜びを身にしみて感じる期間だった。

 2年夏には復帰したが、打撃が思うようにいかない。最後の夏を前に気持ちが沈んでいた今年6月、監督から言葉をかけられた。「俺は最後までお前に付き合うよ。良くなるように最後まで支えるから」。力強い言葉が心の支えになった。

 けがに不調、その中で感じたこと、支えてくれた言葉と重ねてきた練習、その全てをぶつけた試合だった。

 春季県大会で敗れた市船橋を相手に挑んだこの日、2得点をあげる活躍ぶりを見せた。敗れたが「挑戦者として挑んだ。点を取られては取り返す試合で、自分たちの持ち味が出せた」と話し、「甲子園に行きたかったけれど、この舞台に連れてきてくれた監督に感謝しかない」と恩師を信じて駆け抜けた夏を振り返った。=ZOZO(武田百花)