（27日、第107回全国高校野球選手権大阪大会決勝 東大阪大柏原6―5大阪桐蔭=延長10回タイブレーク） 「信じてくれ！…
（27日、第107回全国高校野球選手権大阪大会決勝 東大阪大柏原6―5大阪桐蔭=延長10回タイブレーク）
「信じてくれ！」
試合中、マウンドから守る仲間に向かって、何度も何度も叫んでいた。
同点の八回表、2死満塁のピンチ。大阪桐蔭のエース、中野大虎主将（3年）は打者を空振り三振に切ってとると、大きくガッツポーズをしてベンチに駆け戻った。
この日は二回に2点を先制され、打線も相手投手を捉えられずにいた四回から登板。直球や変化球をテンポ良く投げ込み、その回を連続三振などで三者凡退に抑えて流れを呼ぼうとした。
投手で主将を務めるのは負担が大きいが、西谷浩一監督から全幅の信頼を寄せられ、チームの満場一致で選ばれている。
4点を追う七回裏、打席で死球を受けても、即座にベンチに向かって満面の笑みで「よっしゃあ！」と叫んだ。仲間にも笑顔がこぼれた。
走塁を臨時代走に任せる間も、打席に入るひとり一人に向き合って両肩をたたきながら、笑顔で声をかける。仲間はそれに応え、満塁から四球、死球、内野ゴロ、内野安打で同点に追いついた。
延長の末に敗れ、連覇はならず。春の選抜大会への出場も逃し、このチームでは甲子園に届かなかった。
球場の外で支えてくれた保護者らを前に、「この夏、何としても甲子園に出場するという気持ちでやってきたが、本当に悔しい」と話したところで、涙で言葉を詰まらせた。「がんばれ」の声を受け、続けた。
「最後まで大阪桐蔭の野球をやりたかった」（武井風花）
